2024.02.26
現代の“教育・お受験”リアルドキュメント Vol.49今回お届けするのは、都内国立小のなかでも最難関校として知られる、筑波大学附属小学校に挑んだ親子の受験体験記だ。
特筆すべきは夫婦ともに小学校受験の経験はないということ。
しかも、対策を始めたのは受験本番のわずか1年前だ。
さらに受験勉強を始めた当初、夫は我が子の小学校受験に反対していたという。
そんな一家の結末はいかに…。
取材・文/風間文子
前回の記事はこちらから
【麻布中高のすべて・後編】入学できたら高3まで勉強しなくていい?中受トップ層の大学受験事情
▼INDEX
1. 最後の合否は、くじ引きで決まる
2. 最初は、誰もが希望に満ちた面持ちで受験は始まる
3. 国立小受験の現実を思い知らされた秋
4. 心を鬼にした母親に、娘が放った一言とは
最後の合否は、くじ引きで決まる
その日は朝から冷え込み、終日、灰色の空が広がる天気だった。
昨年12月半ば。東京都文京区にある筑波大学附属小学校の講堂には、同校の第2次選考に合格した子どもらの保護者が集められていた。
学校関係者の1人がマイクを片手に口を開くと、堂内はしんと静まり返る。
「ここにいる人たちは皆さん、合格です。しかし定員がありますので、残念ながら皆さんを合格させることができません。なので、これからくじを引いていただきます」
講堂の前方には、八角形の木製の箱にハンドルがついた1台のガラガラ抽選器が置いてあり、保護者らの食い入るような視線が集まった。
例年、男女合わせて4,000人近くの受験者が受験する同校に入学するためには、3つの関門を突破する必要がある。
まずは第1次選考である抽選に合格すること。そこで男女それぞれ50%程度の受験者が即、不合格となる。
一方、運良く最初の関門を通過できた合格者を次に待ち構えるのが、ペーパー試験や運動テスト、行動観察といった第2次選考だ。
この2つ目の関門を突破できる受験者数は、第1次選考を通過した者のうち10%程度と極めて少ない。
そして最後に待ち構えているのが、冒頭で触れたガラガラによる抽選だ。
「この年、女子の場合は90名が第2次選考に合格しましたが、第3次選考の抽選で合格できるのは64名。最後の最後で約3人に1人が落ちるというわけです」
そう語るのは、今回取材に協力してくれた武藤明美さん(33歳、仮名)。彼女の長女が同校を受験し、第3次選考の抽選に挑んだ1人だ。
最後の抽選は男女別々に行われ、まずは保護者代表3人がガラガラの箱の中へ入れる玉を確認するという。
「玉には1から順に数字が記されていて、第3次選考に参加した保護者の数、プラス1個分の玉が箱の中に入っているんです。この日の抽選に出席した女子の保護者数は89人だったので、玉の数字は90番までありました。
次に保護者全員が1人ずつ前に出て、ガラガラを回していきます。このときに出た玉の数字が、自分の番号になります。
そして最後の1玉が残ったガラガラを学校関係者が回し、出てきた玉に書かれている数字ですべてが決まります。出た玉の数字の、次の数字からが合格です」(明美さん)
張り詰めた空気のなか、最後にガラガラから転がり落ちた玉の数字は9だった。
女子の定員は64名で、最後に出た玉の数字は9。つまり10から74までの番号が書かれた玉を引いた家庭が合格ということになり、75から90、それから1から8までの番号の玉を引いた家庭は残念ながら不合格ということになる。
最後の玉が掲げられると会場は一気にざわついた。間もなく、自らの膝に突っ伏し、むせび泣く保護者の姿が見られた。
つい先ほどまで我が子の合格が目の前にあったのに、ガラガラを1度回すだけで、運命は天国と地獄に分かれる。
「これは何の番号ですか?誰か教えてください、この番号は何なんですか!?」
不合格となった保護者は会場からの退席を求められるなか、現実を受け入れられず、意味不明なことを叫び出す母親もいたという。
これが受験者数日本一といわれ、国立大付属小学校のなかでも特に人気の高い筑波大学附属小学校のお受験だ。
では、今回取材に協力してくれた明美さん一家の合否はどうだったのだろうか。
読むことができます
【現代の“教育・お受験”リアルドキュメント】の記事一覧
2024.03.15
Vol.50
中等部受験に失敗し、塾高を目指して猛勉強!9年かけて慶應を目指すも、補欠合格だった一家は…
2024.01.29
Vol.47
【麻布中高のすべて・前編】入試問題は大人でも解けない?合格のために必要な習慣と対策
2024.01.15
Vol.46
枝光会附属幼稚園、愛育幼稚園の2園に合格した母親がつづった“幼受必勝ノート”の中身を大公開!
2023.12.03
Vol.45
母子だけで、東南アジアへ教育移住。3ヶ月後「もう日本には帰らない」と10歳の息子が言ったワケ
2023.11.20
Vol.44
塾をかけ持ちしても、成績が全然上がらない!学習院女子中を目指す一家が、受験5ヶ月前に実践したコト
2023.11.06
Vol.43
小6の夏まで、週5で習い事を掛け持ちしながら中受にトライ。それでも難関私立中に合格できた理由
2023.10.09
Vol.42
「塾に課金してまで中受しなくていい」都立高校から、東大に現役合格。直前までE判定でも受かったワケ
2023.09.29
Vol.41
都内の国立小に我が子3人を合格させた親が語る、お受験対策で伸ばすべき子どもの能力とは
2023.09.11
Vol.40
地方出身で縁故ナシ。夫婦共働きのサラリーマン家庭が私立小合格を勝ち取った、お受験攻略術は…
2023.07.29
Vol.39
“モヤモヤ”が生徒を覚醒させる?有名進学校を押しのけて躍進する、洗足学園の秘密とは
おすすめ記事
2024.02.12
現代の“教育・お受験”リアルドキュメント Vol.48
【麻布中高のすべて・後編】入学できたら高3まで勉強しなくていい?中受トップ層の大学受験事情
- PR
2024.12.19
「彼のこと、気になってきちゃった…」女性との距離が急速に縮まる、特別な気持ちの伝え方とは
2016.10.20
表紙カレンダー
岩田剛典が戦慄!強制ハロウィンの恐怖とは?
2023.08.30
ハラスメント探偵~解決編~
オフィスに家族写真を飾っていたら“セクハラだ”と内部通報された男性社員。会社側のジャッジはいかに!?
- PR
2024.12.20
初心者も楽しめるカジノがアツい!“大人のテーマパーク”「パラダイスシティ」主催のイベントに編集部が潜入
2023.08.02
ハラスメント探偵~解決編~
「あんた、バカじゃないの!」思わず新入社員の腕を掴み、怒鳴ってしまった!これってパワハラ?
2022.01.17
成功者が実践する “稼ぎ生活”
成功者だけが知っている「仕事で成功するための能力」と「必要のない努力」
2024.04.26
表紙カレンダー
「私が譲れないのは…」西野七瀬が語った、30歳の節目を迎えるいまの心境とは?
2022.08.20
大人の恋活English
彼を諦めたくないエリは、NYの美容室へ。「How do you want it cut?」と聞かれドキっ…
2022.07.24
「ドンペリでも飲むか」3高の男・田中卓志が、銀座のナイトクラブで美女と過ごす夜
東京カレンダーショッピング
『かに物語』:〆まで楽しめる雑炊の素付き!蟹の旨みがたっぷりと溶け出すかに鍋セットミニ
『肉のABCフーズ』:黒トリュフ塩付!牛タン&A5ランク黒毛和牛を使った極上ハンバーグ
『東京京橋おばんざい醸』:肉を引き立てる3種の塩!A5黒毛和牛を使ったローストビーフ
『かに物語』:海老・帆立・蟹!ベシャメルソースに、各種海の幸をトッピングした贅沢グラタン
『UMIKARA』:薄切り・厚切り食べ比べ!特製出し汁で味わう若狭湾真鯛の鯛しゃぶセット
『パンツェロッテリア』:具材ごろごろボリューミー!フレッシュな野菜と肉感満載のフライドピッツァ
『オリベート』:黒トリュフ香る、口当たりクリーミーな究極のティラミス
『ミホ・シェフ・ショコラティエ』:日本を代表するショコラティエ―ルが作る、 ショコラ好きのための濃厚ガトーショコラ
『LOUANGE TOKYO』:アート感溢れるビジュアル!口溶けなめらかな大人の生チョコレートエクレア(6種)
『ル・ボヌール 芦屋』:しっとりサクサク!フリーズドライ苺にホワイトチョコをたっぷりと浸透させた新感覚スイーツ