人生には、決断が必要だ。
いつだって、選ばなくてはいけない。
食事のメニュー、仕事のプラン、乗る車。そして…運命の相手も。
29歳の愛香も、異なる魅力を持つ2人の男性のあいだで揺れ動いている。
アクティブでワイルドな男と、クールでインテリジェントな男。
こちらは、早稲田卒で飲料メーカーに勤める、アクティブでワイルドな男・栄輔(32歳)編。
彼は、愛香を落とすためにどんなデートプランを立てるのか。
あなたなら――どっちの男性を選ぶ?
小説の最後にあるアンケートに答えると、抽選でプレゼントが当たる!
▶SideB:クールでインテリジェントな男~彰編~は、コチラ
SideA:アクティブでワイルドな男~栄輔編~
― あーあ、もう帰りたいかも。
“ゴルフ日和”を絵に描いたような青空の下。ゴルフコースのティーイングエリアのど真ん中で、愛香はそんなことを考えていた。
ゴルフは好きだけれど、今日のプレーはどうにも楽しめないでいる。というのも、今日のゴルフは、気乗りしない合コンを兼ねているからだ。
「ウェイ!愛香ちゃん、ナイショッ」
「フゥ〜!愛香ちゃん、マジ飛んでんじゃーん!」
「あはは…ありがとうございます、イエーイ」
5番ホールのドライバーショットを済ませ、一緒のカートに乗っている男性たちとハイタッチを交わすと、言いようのない疲れがどっと押し寄せる。
合コンのお相手は、飲料メーカーの営業マンたち4人。愛香の学生時代の女友達4人と男女2人ずつのグループに分かれてカートに乗っているが、彼らのハイテンションなノリにはどうにもついていけないでいる。
― やっぱり、連日予定を入れるのはしんどいな。明日はアプリで出会った彰さんとのデートだし、おとなしく家で美容デーにしておけばよかった。
作り笑いのしすぎで凝り固まった頬をほぐしながら、愛香は後悔し始める。けれどすぐにここへ来た目的を思い出し、プルプルと首を振って気合を入れなおした。
もともと恋愛に不器用なタイプの愛香が、ここのところ恋活に励んでいる理由はただ一つ。
3ヶ月後に控えた30歳の誕生日は、最高のパートナーと迎えたい。そんな切実な願いがあるからだ。
長く付き合っていた彼氏と別れてから、気がつけばもうずいぶん時が経ってしまっている。
今度こそ、最高の恋をしたい。もしかすると最後の恋になるかもしれないのだから、幅広く貪欲にいろんな男性を見てみたい。
そう一念発起して、アプリでマッチしている彰がいるにもかかわらず、こうしてゴルフ合コンにも参加している。来なければよかった、と結論づけたくはない。
― とはいえ、今日はピンとくる人には会えなそうかな。
早くも結論を出しそうになった愛香が、今日何度目かになるため息をつきかけた、その時…。視界の端にふと、意外な光景が飛び込んできた。
ショートコースで待ち時間が発生した関係で、いつのまにか、分かれていたカート2台が合流するかたちになっている。
半ば放心状態だった愛香は、そちらの方へ視線を送る。
「彼は…栄輔くんって言ったっけ?」