
「僕は本当に天才じゃなくて…」岡本信彦が、声優を志す人々へ伝えたいこととは
「自分は凡人。特別な声というギフトもない。でも、頑張れば声優になれると信じていたのは大きかった」
含蓄ある仕事論に聞き入ってしまうが、そんな岡本さんが2023年、印象に残ったことを聞いた。
「僕、将棋が好きなんですけど、今年は羽生善治さんと藤井聡太さんにお会いできたことが嬉しかったです。
藤井さんとはラジオで一緒にお話しさせていただいて、その時に天才とは何かを知る瞬間がありました。
藤井さんにオフの日は何をされているか聞いた時、“何もしてない”ってまず仰ったんです。でも改めて細かく朝起きてから何をされているかを聞いた時には、“誰かが対局しているので、その動画をつけます”と。
生配信の対局を見ながら自分でも指すと仰っていて、僕にとってそれは勉強だけど、学びと捉えていないことに驚きました。
呼吸するかのごとく研究をされていて、オフの日もやるぐらい日常化している。これが本当の天才なんだなと。ギアを上げていないけど、ずっと高速で走っているようなイメージです」
声優界で“天才”と呼ばれる岡本さんが語る天才が面白い。でも本人は、「いやいや、僕は本当に天才じゃなくて」と言い、理由を続ける。
僕がなぜ天才じゃないかというと、声が普通だから。でも、頑張れば声優になれると勝手に信じていたのは大きかった。
いま思い返すと、“声がいいね”と言われたことはやっぱりなくて、“その解釈がいいね”と言われることは多かったです。なのでキャラクターの解釈ができれば、声に特徴がなくても大丈夫。
自分は声優になれるかなと考えてしまう方もいると思いますけど、そういう方も、なれると思うというのは伝えたいです」
この1年は棋士と出会えたり、声優としても憧れた香取慎吾さんと共演できたりと良縁が多かった年。その出会いは未来への糧になる。
「今年はインプットを多くさせていただいたので次はアウトプット。
表現もそうですけど、後進育成も含め、ラクーンドッグ(自身が代表を務める声優事務所)の役者たちに教えられることがあったら嬉しく思います。
それに教えるって自分が育つことにも繋がるんです」
第一線に身を置きながら、業界の高みも見据えて走り続ける。日本が誇るアニメへの貢献は、感情を武器に大きくなる一方だ。
■プロフィール
岡本信彦 1986年生まれ、東京都出身。2006年にデビュー。主な出演作は『青の祓魔師』『僕のヒーローアカデミア』など。声優として活躍する一方、2022年に声優事務所「ラクーンドッグ」を設立。2024年1月から放送予定のアニメ『異修羅』にはメインキャストとして出演
■衣装
コート 165,000円、ニット 39,600円〈ともにジョン スメドレー/リーミルズ エージェンシー TEL:03-5784-1238〉、眼鏡 38,500円〈パイン/フォレストパイン・デザインラボ TEL:03-5786-2323〉、その他スタイリスト私物
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