「僕は本当に天才じゃなくて…」岡本信彦が、声優を志す人々へ伝えたいこととは

「どこか俯瞰で見ているかもしれないです。僕はまったく憑依型じゃない」


では、声優の場合の二面性の落としどころとは?

「お酒は弱いので真っ赤になってしまうけど、乾杯はします(笑)」と岡本さん


「人間だからクールキャラでも怒鳴ったりする。でも、怒鳴り方はクールキャラならではの怒り方であって、人生で初めて怒った人の怒り方かもしれないし、クールを極めて淡々と怒るかもしれない。

僕の中で、クールでも怒る理由、例えば、親友が間違った道に行こうとしているから止めるとか、クールな人の冷静でいられない瞬間はどんなタイミングなんだろうっていうところから作ったりします」

理由という些細な物語の重なりが全体のストーリーを彩る。

「心も使っているんですけど、僕はある意味、どこか俯瞰で見ているかもしれないです。僕はまったく憑依型じゃない。

憑依型でお芝居をされる方ってたぶん台本を持つのも忘れて、文字を読んでいることも頭に入っていないぐらいゾーンに入っている気がして、羨ましいなと思います。

僕の場合は、自分がそのキャラクターの一番のファンとして、視聴者だった場合にどうしたら面白く観られるかを考えて演じています」

どちらのやり方にしろ、声に込める感情で人の心を揺さぶる。

4年ほど前から、岡本さんは梶さんと飲みながらよく話すことがあるという。世界中にファンをもつアニメに出演する人ならではの、以下の見解だ。

「感情は国境を超える」

外のイベントに出席することが増えた頃、実感するようになった。日本語が分からない相手も台詞に熱狂してくれる。

「例えば“ふざけるな”という台詞があって、それが気持ちと相まって少しぐちゃぐちゃに聞こえたとしても、感情が伝われば分かってもらえる」と、対日本人でも同じことが言えるという。

だから綺麗に喋ることも大事にしつつ、「キャラとキャラの心の距離感が一番大切」とアフレコに挑む。

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