クリスマスには、『セレンディピティ〜恋人たちのニューヨーク〜』をおうちワインと

偶然のブレンドがワインに幸運をもたらす


嵩倉:いかにも胸キュンしそうなストーリーですね。それで柳さん、セレンディピティなワインは?

:悩んだね〜、今回のお題には(苦笑)。

まず、偶然出会ったふたりが造り始めたワインを考えたけど、この連載第1回のカシオペがまさにそれだし、醸造試験中に偶然生まれたワインは、これだというのが思いつかず……。

それで3日ほど悩んだ末にひらめいたのが、フィールドブレンドだ。

嵩倉:えっ、ゴールドブレンド?

新谷:おほん、それってインスタントコーヒーでは?

:新谷さん、クラリンへのツッコミありがとうございます。

ブルゴーニュにおけるピノ・ノワールのように、単一ブドウ品種から造られるワインもあるけれど、ボルドーみたいに複数のブドウ品種をブレンドして造られるワインも少なくない。

ただ、ブレンドから造られるワインはそれぞれのブドウ品種ごとに畑の区画が決まっていて、別々に収穫、醸造してからブレンドされるのが一般的だ。

嵩倉:えっ、なぜなぜ?

:区画を分けるのは品種ごとに土壌の向き不向きがあるからだし、別々に収穫するのは生育のスピードが品種ごとに異なるから。

新谷:どの品種もベストな状態でブレンドしようという考えですね。

:そうです。それに対してフィールドブレンドというのは、ひとつのブドウ畑に複数の品種がごちゃ混ぜで植えられている。ごちゃ混ぜだから、別々に収穫なんて無理だし、醸造も一緒。

嵩倉:すると、ある品種は完熟してるのに、別の品種は未熟なままということになりませんか?

:いいところに気づいたね、クラリン。でもそれが「偶然」の奇跡を呼び、人の手の制御が効かない面白さを生むし、年によっては完璧な調和がもたらされることもある。

今回紹介するフォリアス・デ・バコの「ウィヴォ・レネガード」は、なんと25以上の品種がごちゃ混ぜだ。

「Folias de Baco UIVO RENEGADO 2021(フォリアス・デ・バコ ウィヴォ・レネガード2021)」


フォリアス・デ・バコはティアゴ・サンパイオ氏が2007年、ポルトガルのドウロに設立したワイナリー。

このワインはティンタ・ロリスやマルヴァジアなど、黒ブドウも白ブドウも25品種以上ごちゃ混ぜの畑から造られる。

淡いルビー色で、混醸ならではの複雑さと旨みがある。

3,520円/BMO TEL:03-5459-4334



新谷:計算づくでない、想定外の偶然がもたらすおいしさ。まさにセレンディピティなワインですね。

:あとはクラリン、クリスマスイブにセレンディピティな殿方との出会いを待つだけだ!

マリアージュをお届けするのはこの3人!


幅広い分野の雑誌で執筆を手掛け、切れ味あるコメントに定評があるワインジャーナリスト。映画を観ながら、“恋の行方”よりこのクリスマスはどのワインを開けようか考え中。


映画を中心に、書いたり取材したり喋ったり。この映画のように運命を信じるか、諦めて新しい道を開拓するか……ホットワインを飲みながら大人の恋を模索します。


本連載の担当になって6年目に。ワインの知識は少しずつでも積みあがっていると信じ、柳氏にしがみつく日々。聖なる夜は、“誰と過ごすか”よりも“何を食べるか”に注力する。

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