日本の美食を支える「やま幸」の社長が描く、“麻布十番の未来図”とは

次の世代に本物の味を伝えるのが、魚屋の使命


今年60歳を迎えた山口氏のこれからのテーマは、「日本の食文化の継承」。

若い人たちにも、マグロをはじめ日本の魚の品質を知ってほしいと奮闘中だ。

「僕は20歳でこの世界に入って、自分で美味しいものを食べられるようになるまで結構時間がかかったんですよ。だからまだお金を稼げない人にも、日本の魚の美味しさを知ってほしい。

日本人っていうのは、昔から“目に青葉 山ほととぎす 初鰹”と、脂があるわけではない初鰹でも、その香りの魅力を分かっていた。素晴らしい感性ですよね。

でも今は味覚が少し欧米化している。だから、本来の感性を得られるように、季節の天然の魚をなるべく安く提供する場所を増やしたいんです。

その味を知った人が仕事を一生懸命に頑張った結果、どんどん色んな職人のところにも食べに行けるようになる。そしたら職人の成長にも繋がると思うんですよね。

誇れる文化を次の世代にどうやってバトン渡ししていくか。そういう環境を作ることも、我々魚屋の大事な使命だと思っています」

山口氏にとって飲食店を手がけることは、未来の食文化への種まきでもある。並行してまぐろ仲卸として夜中1時半には起きて豊洲へ向かう。

「仕事が凄く好きで、60歳を超えてもいまだにマグロとの出合いで、“こんなマグロいるんだ!”って発見があるんですよ」と山口氏。

学び続けるプロフェッショナルのマグロ料理を多彩に味わえる十番は、それ目当てに訪れる価値がある街。

居酒屋も実現したら、大人の食育と遊びをかねる場所として、一層パワーが増しそうだ。

今秋開業の「麻布台ヒルズ」に、巨大な鮮魚店が誕生予定!


これまで業者向けの卸売りのみだった「やま幸」が、2024年1月に一般客向けの鮮魚店を開業。

「市場の魚を安く提供し、子供から大人まで“本物”に触れられる場にしたい」と山口氏。

山口氏が選んだ、麻布十番の最新“お気に入り”店がこちら!


1.『立喰 鮨となり』


きちんと美味しい、鮨の立ち食いが十番らしい


「鮨って本来はファストフードなので、もっと気軽に食べてほしいもの。だから、立ち食いの環境を作った秦野君の発想は面白いですよね」

2.『宮わき』


70種にもおよぶ豊富なメニュー展開には脱帽


「お客さまに美味しいものを提供したいという強い気持ちが伝わってくる。結局はそんな姿勢を貫ける料理人が勝ち残るんですよね」

3.『鮨 薪介』


江戸前の伝統を守りつつ、随所にオリジナリティが


「鮨には個性があって当たり前で、逆にないとダメだと思っている。そういう意味でも薪介君の店は、振り切っていて好きだね」


▶このほか:大人気の「もつ焼きのんき」で四谷三丁目をけん引する社長が、この街の魅力を紐解く

今月の『東京カレンダー』は「麻布十番の熱気」特集。新店が続々誕生しているこのエリアは今、かつてないほどアツい夏を迎えている。

ドキドキするような夜も、ワクワクするような夏も、すべてはこの街にある。この高まる盛り上がりに乗り遅れるな!

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