オトナの5分読書 Vol.6

自動的に富が増え続ける、たった3語の呪文『JUST KEEP BUYING』とは

1990年代は1回の取引に8ドルもかかったので、「JUST KEEP BUYING」を実践するには多額の取引コストがかかった。

だが、近年「JUST KEEP BUYING」は、とても簡単に実施できるようになった。

主要な投資プラットフォームの多くで取引コストが無料となり、端株(1株未満)の保有者が増え、低コストでの分散投資が可能になるなど、「JUST KEEP BUYING」を実践する環境はかつてないほど整っている。

現在では、インデックスファンド(様々な株価指数の値動きに連動させることで運用効率を図る投資信託)の「S&P500」を1株から購入できる。

「S&P500」の株を買うことは、米国の大手上場企業500社の従業員が自分のために働いてくれるのと同じこと。

国際的なインデックスファンドを買うことは、世界各国の大手上場企業の従業員が自分のために働いてくれるのと同じこと。

世界規模の経済成長のおかげで、私たちは何十年にもわたって資産を増やし続けられる。

これは、私の個人的な意見ではない。

地理的条件や投資資産の種類の違いを超え、100年以上に及ぶ信頼性の高いデータに裏打ちされた事実だ。


しかし日本人は、今も資産の多くを「現金」で持ち続けている。世界的にインフレが加速し、現金の価値が激減する今、この戦略は賢いとは言えない。

このままでは、日本人は「金銭的自立」に遅れた世界の金融孤児になりかねない。

今ならまだ間に合う。これから紹介する戦略に従えば、間違いなくこれまでより確実に豊かになる。

まずは、何から始めるべきなのか説明する。

2. 貯金か投資か。どちらを重視すべき?


ウォーレン・バフェットなど投資界の伝説的人物がよく口にするアドバイスがある。

「取引手数料を安く抑える」「分散投資する」「株を長く保有する」などだ。

23歳のとき、私はこれらのアドバイスを忠実に従おうとしていた。しかし、大事なことを見失っていたのだ。

当時、私の投資用口座に入っていたのは、たった1,000ドル。にもかかわらず、翌年の投資判断の分析に大量の時間を費やしていたのだ。

「資産の15%は債券で持つべきか、それとも20%?10%ではいけないのか」

だが、投資に執着していたわりには、収入や支出の分析にはまったく時間をかけていなかった。しょっちゅう同僚と外食に出かけ、何杯も酒を飲み、Uberで車を呼んで家に帰っていた。

当時のサンフランシスコでは、一晩に100ドルくらい簡単に消えた。

これがどれだけ愚かな行動だったか、少し考えてみよう。

1,000ドルの金融資産しか保有していなかった私は、たとえ年利10%で運用できたとしても1年で100ドルの投資利益しか稼げない。

私はその同額を友だちと出かける度に使っていたのだ。


逆にいえば、一晩仲間と飲み食いするのを我慢するだけで、1年分の投資収益と同額のお金が手に入ったことになる。

これを資産1,000万ドルの人と比べてみよう。

もし、この人のポートフォリオ(自分が保有している様々な投資資産の組み合わせのこと)が10%減ったら、100万ドル失うことになる。

この人は、その分をカバーするために1年で100万ドルの貯金ができるだろうか。まず無理だろう。

だからこそ、資産が1,000万ドルの人は、100万ドルの人に比べて投資先の選択に多くの時間を費やさなければならない。

つまり、投資資金が少ないなら貯金に注力し、すでに大きな投資資産があるのなら、投資計画に時間を費やした方がいいということだ。


では、自分がこの「貯金か投資か」の問題のどの地点にいるのか、どのように判断すればいいのか。

次の簡単な計算を参考にするとよい。

まず、今後1年間に無理なく貯金できる金額を算出する。たとえば、1ヶ月に1,000ドルの貯金ができそうなら、予想貯金額は1万2,000ドル。

次に今後1年間に予想される投資収益を決定する。

たとえば、投資資産が1万ドルありその年利回りを10%と予想すれば、投資資産は1年で1,000ドル増えることになる。これを予想投資収益額とする。最後のこの2つの数値を比較する。

予想貯金額と予想投資収益額のどちらが多いか。

予想貯金額のほうが多い人は、貯金を増やすことに集中すべきだ。

予想投資収益額のほうが多い人は、所有している投資資産の配分調整に多くの時間を割くべきだ。

一般的に年齢とともに、焦点は貯金から投資へとうつっていく。



本書では、このあと貯金力アップの方法、投資力アップの方法をかなり具体的に教えてくれているが、最後に最も重要な資産について述べている。

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