相次ぐ高校募集停止の報道もあり、中高一貫校への関心は高まるばかりだ。
そこで今回は、ある学校に注目してみたい。
かつては“音楽科のある学校”に過ぎなかった学校が、現在は一変。
卒業生の進学先を見ると、東京大学18人、京都大学1人、東京工業大学2人、一橋大学5人をはじめ、国公立大学に進学した卒業生は67人にのぼる。
学部も医学系、工学系、経済学系、さらには、農学系や国際教養学系、美術系などと幅広い。
私立大学に関しても慶應義塾大学35人、早稲田大学30人、上智大学8人をはじめ、名門大学の名がズラリと並ぶ。
これが、神奈川県川崎市にある中高一貫女子校・洗足学園の2022年度の進学実績である。
なぜ、同校は劇的な変化を遂げることができたのか。その理由を取材すると、生徒を“モヤモヤさせること”に注力した結果であることがわかった。
同校躍進の鍵となったモヤモヤとは、一体何なのか。順を追って解説していこう。
取材・文/風間文子
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御三家よりも魅力を感じさせる、洗足学園とは
「実は、娘の当初の第1志望は豊島岡女子学園だったんです」
そう語るのは現在、我が子を洗足学園に通わせる御手洗芳子さん(仮名・46歳)だ。
「志望校を決める際に、娘本人は女子校に行きたいと希望して。親としてはミッション系ではないところで、卒業後の進学実績の高い学校を希望していました。
そうなると自ずと選択肢は限られ、当初は豊島岡女子学園を第1志望校に決めて受験に挑みました。洗足学園については、あくまで第2志望という扱いだったんです」(芳子さん)
しかし、受験本番では第1志望校にあと一歩届かず、芳子さんの娘は結果的に洗足学園へ入学することになる。
さぞ落ち込んだのではないかと思いきや、芳子さんは「そうでもない」と語る。
「数十年前に私も中学受験を経験しており、当時の洗足学園は音楽科がある学校としては有名でしたが、一般的には試験さえ受ければ誰でも入れるといった印象でした。
ですが、近年は全くそんなことはなかった。実際に娘を入学させて思うのは、豊島岡に落ちて良かったということ」(同)
かつての印象とは程遠い洗足学園の今に驚く芳子さんだが、同校はいかにして変貌を遂げたのだろうか。
奇跡の始まりは、35年以上も前からの学校改革に遡る…
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