芸能人御用達の焼肉店『名門』の店主が、四谷三丁目の昔と今を語りつくす!

『寿司金』の親方に代表される“現代の名工”が、気取らずにいるのが四谷三丁目の魅力

57歳のヤッキーさん。3年ぐらいしたら席数を絞った営業形態に変えるつもりらしい


そして、思い出したように「“寿司金”には行ったの?ウチよりお父さんに話を聞きに行かんと」と言った。

荒木町の車力門通りに佇む『日本橋 寿司金』。

親方の秋山 弘さんは漫画『美味しんぼ』にも実名で登場したまぐろのエキスパートで、“現代の名工”にも選ばれるほどの卓越した鮨職人だが、ヤッキーさんはその気取らぬ姿に並々ならぬ品位を感じているという。

「あれだけの人やのに、まったく偉ぶらない。近所のコンビニでコーヒーを飲んでいるのを見かけると急いで挨拶するんやけど、歳下の僕にもきちんと接してくれる。お店にまぐろを持ってきてくれたりもしてね。

ああいう老舗が今も暖簾を掲げているのが、四谷三丁目の素敵なところだと思う」

顔が見える付き合いを大切にする。よく語られることだが、決して簡単なことではない。

かつては業界人がひしめいた四谷三丁目に、今もなお粋な大人が集ってくるのは、そうした当たり前をおごらず臆さず実践し続ける店があるからなのかもしれない。

サービス精神旺盛なヤッキーさんの語りは止まらないが、すでにインタビューを開始してから2時間が経っていたので、最後にヤッキーさんが考える四谷三丁目の遊び方を尋ねた。

すると、「荒木町が醸し出す独特の情緒を楽しんでほしいね」と答えが返ってきた。

「独特の情緒が漂う荒木町は、地に足のついた生粋の都会派にふさわしい場所なんだと思う」


「今はマンションも増えたけど、花街だった頃の背が低い建物がまだまだ残ってる。江戸時代に造られた池もある。昔から銀座のママたちも多く住んでいて、しっぽりした夜が似合う街なのよ。

ウチに来る時は、時間に余裕を持ってまず“エリマキラーメン”の脇から入って荒木町を散策してみたらいいと思う。

僕は長らく港区に住んでいたから感じるんだけども、かつて大名屋敷もあったこの街は、地に足のついた都会人にふさわしいとこなんやないかな」

昔も今も生粋の都会派が集まるのが「四谷三丁目」。だからこそ、大人はこの街に憧れを抱いてやってくる。

『名門』の壁でにこやかに笑う芸能人たちの姿にふと目をやったら、そんな考えが湧いてきたのだった。

半世紀にわたって多くの著名人を虜にしてきた焼肉店『名門』


確かな肉の目利き力をベースとした各部位の説明や、見事な焼きのテクニックで芸能人、政治家、経営者、市井の人々を魅了。


注目すべきはヤッキーさんの類まれなるパフォーマンスが炸裂する「絶倫コース」18,000円。

「サガリ一本焼き」など、他にはないメニューが目白押しだ。

■プロフィール
ヤッキー中村 『名門』の2代目店主。TV出演はもちろん、焼肉ソングで歌手デビューするほど強烈な個性を持つが、その日常は、家と店の往復に終始する。大阪府出身


▶このほか:「あの時の自分に怒られると思う」俳優・桐谷健太が、いまを全力で楽しむ理由

8月号の『東京カレンダー』は初出しのエリア「四谷三丁目」を大特集。

この都心のど真ん中にある秘密基地を攻略すれば、東京はもっと面白くなる!

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