人の心は単純ではない。
たとえ友情や恋愛感情によって結ばれている相手でも、時に意見は食い違い、衝突が起きる。
軋轢や確執のなかで、感情は歪められ、別の形を成していく――。
これは、複雑怪奇な人間心理が生み出した、ミステリアスな物語。
◆前編のあらすじ
大手食品会社に勤める雅紀(29歳)は、同じ歳の玲奈に惹かれ、3度目の告白で交際に辿り着いた。しかし、デートで巡っていた場所がすべて玲奈が元カレと出かけた場所だと知り、ショックを受ける。元カレの存在を追いかけているのかと思ったが、玲奈は「思い出を上書きしている」と言い…。
▶前回:彼女のパソコンで見つけた大量の写真に、男が震え上がった理由
思い出の上描き【後編】
「どうだった、玲奈。久しぶりの箱根は?」
雅紀はハンドルを握りながら、助手席に座る玲奈に尋ねる。
「すっごく楽しかった。ああ、もう終わりかぁ…」
名残惜しそうに窓の外を眺める玲奈を横目に、雅紀は手応えを感じた。
― よし。これでまたひとつ、元カレの思い出を消す......
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この記事へのコメント
その油絵も、塗りつぶして上書きしてもらう必要ない。単に処分すればいいだけ。捨てられないなら実家で預かってもらうとかどうにでも出来る。頭のおかしい主人公で怖かったけど。