楽しいフレンチは、リトルパリ・神楽坂で Vol.5

今、“和テイスト”なフレンチが美味しくて新しい!神楽坂デートの切り札となる店4選

フランス文化が漂い、「リトル・フランス」とも呼ばれる、神楽坂。

この街には、日本の文化とうまく融合して進化したフレンチレストランが数多く存在するのだ。

今回はデートの切り札となる、“和テイスト”を感じる注目のフレンチを紹介する!



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1.研ぎ澄まされた茶の湯の世界は、フレンチを究極の洗練へと導く
『HASABON』


フランスの食文化と日本の茶の湯の文化が合わさった、古民家フレンチが誕生。

茶席でもてなされる気分を味わいながら、美しきひと皿に感嘆する時間を堪能したい。

ギャラリースペースでもある2階には、炉を切った畳の間があり茶道体験なども行っている。テーブル席もあり、著名作家の器を愛でながら食事することも可能


茶室のような空間でいただく料理が、新しいフレンチの扉を開いてくれる


細い路地裏で、小さな表札をほんのりともすランプ。

密やかなサインを目印にアプローチを進むと、古民家のはりや柱を生かした吹き抜けが開放的な和の空間が出迎えてくれる。

店内には著名な現代作家の器が並び、カウンターには茶釜が配され、さながら和食店のよう。

ここ『HASABON』は、ギャラリーを兼ねたフレンチレストランだ。

「鰆のロースト」は、蒸しながら丁寧に火入れをして、ふっくらと柔らかな食感に仕立てたスペシャリテ。ビビットな春菊のペーストと、エシャロットとふきのとうのソースが春らしいひと皿


茶道を嗜むオーナーによる“日本文化を発信していきたい”という想いのもと、フレンチ出身の小坂孝弘シェフとタッグを組み、繊細なフレンチと茶の湯の世界を融合させた唯一無二の場所を誕生させた。

小坂シェフは、フランスや、博多の一ツ星フレンチ『オーグードゥジュール メルヴェイユ』で修業後、日本料理店でも和食の技術を学んだ。

皿ごとに目を奪われる、新進気鋭の作家の器に描かれた美しい料理。

ブーケのような美しさに心が華やぐ「平目のカルパッチョ」。いり酒で風味づけしたかぶと、ぬか漬けしたスナップエンドウを甘酸っぱい水晶文旦とともに。下に敷いたブルーチーズのソースがそれぞれの素材を包括してくれる。料理はともに16,500円からのコースより


口にすれば、ぬか漬けや甘酒などの発酵調味料によって意外性のある美味しさがある。

新しい発見をもたらすフレンチは、経験豊富な相手も心奪われること間違いなし。

コースの最後は、シェフが目の前で点てる抹茶で締めくくるのも、『HASABON』ならではの体験だ。


〆に提供される抹茶は、いくつかの抹茶碗から好みの器を選ぶことができる。

抹茶ラテに変更することも可能。

人気和菓子作家・あさ貴さんの和菓子を味わえる月に1回だけのコースも人気。写真は「吉野の桜」をイメージした春のお菓子


茶室に招かれたような心静まる空間で、大切な人と新たなフレンチの境地を開いてはいかがだろう。

■店舗概要
店名:HASABON
住所:新宿区横寺町30 神楽坂茶ノ木テラス 101
TEL:03-6427-5448
営業時間:【火・金】17:00~(L.O.21:00)
     【水・木】ランチ 11:30~(L.O.14:00)
          ディナー 17:00~(L.O.21:00)
     【土・日】11:30~(L.O.21:00)
定休日:月曜、第3火曜
席数:カウンター6席、テーブル10席

HASABON(神楽坂) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約

2.古き良き和の古民家で出合う、ガレットの奥深さ
『bertrand larcher le bretagne kagurazaka』


趣ある日本家屋の奥に、スタイリッシュなフレンチが明かりをともす。

そこでいただけるのはブルターニュの伝統と日本の旬が融合した料理。多種そろうシードルでの乾杯も他にない体験で会話が弾む。

どこか懐かしさを感じる風情のある入り口だが、それもそのはず店が入るのはかつて料亭だった建物。手前にバー&カフェスペースを併設し、奥にレストランが広がっている


趣ある一軒家でブルターニュ料理というギャップが大人たちの心をくすぐる


入り口は古民家の庭の石畳を進んだ突き当たり。

店内を進むとモダンなカウンターが現れ、ふたりはガレットをつまみにシードルを飲む。

そんなマリアージュはまさにブルターニュ地方らしい組み合わせ。

シードルのラインナップの豊富さもこの店の魅力のひとつだ。現地の自社農園で育てたリンゴで作られたボトルなど、常時26種ほど用意されている。グラス 1,000円~、ボトル 3,000円~


蕎麦とりんごの生産、酪農が盛んな地で、海に面するため魚介も豊富。

そのため店ではそれらが生きるひと皿が名物となっている。

「鮮魚の蕎麦ガレット包み シードル風味のブールブランソース(バターソース)」3,200円。この日は鮭を使用。下には魚介だしで炊いた挽き割り小麦が敷かれ、食感も楽しい


かきは北海道産、金目鯛は下田産等、日本各地の旬の食材を使い、ブルターニュのテイストと掛け合わす。

世界で唯一のスタイルの背景にあるのは、ブルターニュ出身のオーナー、ラーシェ・ベルトランさんの存在だ。

実は、都内やパリで展開する『ブレッツカフェ クレープリー』を立ち上げた人物で、ブルターニュにも店を持ち、現地と神楽坂を往復する生活を送る。

卵と小麦粉の生地がゆっくり焼けていく香りに懐かしい気持ちになる「ボルディエバターと沖縄産黒糖の厚焼きクレープ」。1,350円


だから情報も食材も最良なものがすぐに入り、それらをフランス料理歴が長い貝塚 眞シェフが料理に昇華。

加えてシードルはフルーティーなのでお酒が苦手な人でも飲みやすい。相手を問わず手堅いデートが約束されるのだ。


簡単には手に入らないサイズのひのきによる、広々としたカウンターがデートにぴったり。

■店舗概要
店名:bertrand larcher le bretagne kagurazaka
住所:新宿区神楽坂3-3-6
TEL:03-5229-3555
営業時間:ランチ 11:30~(L.O.14:00)
     ディナー 17:30~(L.O.22:00)
定休日:月曜、火曜
席数:カウンター10席、テーブル12席

bertrand larcher le bretagne kagurazaka(飯田橋) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約

3.王道フレンチで“串”が登場する意外性は、まさしく劇場型!
『Les aromes』


重厚な石造りにオークブラウンの扉。掲げられた三色旗の隙間から温かなあかりが漏れる。

正統派フレンチと思いきや、スペシャリテはなんと“炭火の串”!大人がそそられない理由がない。

見覚えのある“ひと串”がもたらすワクワク感は、他にない

店は軽子坂に面した一画に。パリの街角にあるビストロを彷彿とさせる洒落た外観。神楽坂のメインストリートとは少し離れたロケーションというのもツウな大人たちの心をくすぐる


肩肘張らずに美食を堪能できるビストロは、デート使いにもってこい。

だが、あまりカジュアル過ぎるのも色気がない。ひねりの効いた料理で相手を喜ばせたいというときにオススメなのが、フランス語で“香り”を意味する店名の『Les aromes』だ。

フランス国旗がはためく外観は、一見「街角のビストロ」そのものだが、なかに入るとその構造にまず驚く。

段差を生かして高さを変えたふたつのカウンター。まるで小劇場のような雰囲気に気分が高まる


店内の段差を生かしたふたつのカウンターを配した空間は、小さな劇場のよう。

これは普通のビストロではないと期待に胸を膨らませていると、11品6,000円のディナーコースのアミューズとして、ベーコンのムースなどが三層に重なった前菜パフェが登場。

次に、フォアグラとあんこを挟んだ最中が運ばれると、ここが“趣向を凝らした新感覚のビストロ”であることを確信する。

シェフの和田陽太さんは、飲食業界でメニュー開発に携わっていたこともあり、料理をブラッシュアップするのが大得意。


コースに登場するカラメリゼしたフォアグラの最中にも赤ワインを!

「白レバー串」(6,000円のコースより)。日本酒とみりんをベースにした和風のタレにくぐらせながら炭で焼いた白レバーは、甘みも香りも濃厚。コンソメで炊いた大根がアクセントになる


フランスのブロシェットという串料理にヒントを得た炭火焼きの白レバーや蝦夷鹿の串物は、火入れも抜群で、ビストロなのに串焼き!?という楽しい驚きも。

ウィットに富んだ料理があれば、ふたりの記憶に深く刻まれる夜になること間違いない。

■店舗概要
店名:Les aromes
住所:新宿区神楽坂3-1-17 ハイポイントビル 1F
TEL:03-3528-9877
営業時間:ランチ 11:30~(L.O.12:30)
     ディナー 17:00~(L.O.21:00)
定休日:日曜
席数:カウンター9席、テーブル4席

Les aromes(飯田橋) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約

4.神楽坂在住のフランス人夫婦に聞いた!あなたのお気に入りのビストロ、教えてください
『BISITO』


神楽坂は、ビストロの本質を熟知するフランス人が多く住む。

編集部が出会ったフランス人夫婦に、お気に入りの店を尋ねてみたらアットホームな空気と他にない料理で、大人たちを魅了する人気店に辿り着いた。

教えてくれたのは…

左.オリビエ・ラムールさん、右.エレン・ニュエンさん


同じ大手金融企業に勤め、神楽坂でふたりの子どもと4人暮らし。この夜は『BISITO』で、久しぶりの夫婦水入らずのデートだとか。

【常連客に聞いた『BISITO』の魅力①】
フレンドリーなシェフの笑顔と温かい歓迎がある


石畳や張り巡らされた路地がどこか祖国に似ていると、多くのフランス人が暮らす神楽坂。

ビストロの数も多いが、その中で“大本命”を知るならやはり、ここで暮らす人に聞くのが一番。

取材中に出会った素敵なフランス人のご夫婦は、神楽坂在住歴10年以上という“街の達人”。

「お気に入りの1軒」を尋ねると「間違いなくBISITOね」と奥様のエレンさん。夫のオリビエさんも「僕たちが長く通っている大好きなお店。今夜も行きますよ」とうれしそうに教えてくれた。

【常連客に聞いた『BISITO』の魅力②】
小体のカウンターと飾らないムードが心地良い

テーブル席もあるが、こぢんまりとしたL字カウンターこそ特等席。常連客の多くはシェフとの会話を楽しんだり、調理風景を眺められるカウンターを指名する


さっそく『BISITO』を目指してみると、メインストリートの喧騒とは離れた袋町の一画に、小さな看板を掲げる店がぽつり。

路地を柔らかく照らすあかりに誘われるように扉を開くと、店主の伊藤洋平さんが、カウンター越しに「いらっしゃいませ」と温かく迎えてくれる。

『BISITO』の魅力により深く触れたいならカウンターがおすすめ。

まずはグラスでシャンパンを注文し、メニューを見るとそこには気になる料理がずらりと並び、食欲と好奇心を刺激する。

【常連客に聞いた『BISITO』の魅力③】
シェフの経験が生きた唯一無二の料理がある


聞けば、伊藤シェフはフランスのニースやバスクにも近いジュランソンのレストランで働いた経験もあるという。明るく朗らかな人柄は、そのまま南仏の太陽をイメージさせる。

帰国後は神楽坂のスペイン料理店で腕に磨きをかけ、独立。

フランスとスペインの郷土料理、そしてそこに日本の旬の食材を組み合わせ、“日仏融合の美食”でゲストを魅了し続けている。


南仏での修業のほか、スペイン料理店で腕を磨いた伊藤さんゆえ、フレンチらしからぬ食材の選びが面白い。

写真は「広島県三原市やっさタコのプランチャ」2,300円。

「北海道産マダラのポワレ ストックフィッシュ」2,850円


ビストロ料理の代表、豚の頭の肉をすべて使うフロマージュ・ド・テットや牛すね肉の赤ワイン煮込みのようなクラシカルなひと皿もあれば、ニースで親しまれているストックフィッシュと呼ばれる干しダラを使った魚料理も。

スペイン料理の定番、タコのプランチャには身がしっとりと柔らかく旨みが豊かな広島県三原市のやっさタコを使うなど、食材選びにも探究心と手間を惜しまないシェフの真摯な性格が見て取れる。

初来店でもたちまちファンになる明るい人柄の伊藤シェフ。「彼に会うと元気になれる」と通う客も多いとか


料理を手際よく作りながら、会話を楽しみ、よく笑うシェフが作り出す和やかな空気感のなせる技か、ひとりで訪れても疎外感は皆無。

「ファミリーのようで心地いい」と常連のフランス人夫婦が話していたとおり、半分以上が外国人ゲストで埋まることもあり、ワインを飲みながら過ごす時間は、最高に陽気だ。

料理はアラカルトが中心で、前菜を2品、メイン1品をふたりでシェアしてちょうどいいボリューム感。

ボトルでワインを1本頼んでもひとり7,000円弱、とくればデイリーに通いたくなるのもうなずける。

「神楽坂は食べ慣れたお客様が多いんです。美味しいと何度も足を運んでいただけることが、ただうれしい」と伊藤さん。

神楽坂を愛するフランス人夫婦が教えてくれたビストロは、自然体で食を愉しむ大人が集う“大本命”の良店だった。

■店舗概要
店名:BISITO
住所:新宿区袋町26-4 森田マンション 1F
TEL:03-6280-7658
営業時間:18:00~(L.O.22:00)
定休日:不定休
席数:カウンター8席、テーブル6席

BISITO(牛込神楽坂) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約



日本とフランスの感性が融合した奥深きフレンチの世界。

大切な人と一緒に、特別なひとときを堪能してみてはいかがだろうか。


▶このほか:女優・今田美桜が思わず心を捕まれた、美しく贅沢な日本料理店とは?

※コロナ禍の状況につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。

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