「Domaine de Cassiopée Maranges Le Bas du Clos 2020(ドメーヌ・ド・カシオペ マランジュ・ル・バ・デュ・クロ 2020)」
マランジュ地区の「ル・バ・デュ・クロ」は、醸造家である夫婦の自宅兼醸造所の真裏にあるわずか0.16haのブドウ畑で、樹齢90年のピノ・ノワールを栽培。
熟したラズベリーの香りが華やかに広がり、口の中が芳醇な果実の風味で満たされる。ワインのラベルも素敵。
10,500円/ラフィネ TEL:03-5779-0127
星を見ながらワイン作り。若手醸造家夫妻の永遠の愛
柳:クラリン、最後の「ペ」しか合ってませんがな〜。カシオペはフランスのブルゴーニュ地方に、ユーゴとタルラのマチュラン夫妻が2年前に立ち上げたワイナリーの名前。ふたりとも20代と若い。
新谷:カシオペというのはもしやカシオペヤ座のことでは?
柳:そのとおりです。北の空に見える、5つの星がW字型に並んだ星座。ギリシャ神話でカシオペヤとは、古代エチオピアの王妃でアンドロメダの母ですね。
嵩倉:あらま、ゆるい感じで天文学につながってきましたね。
柳:タルラは幼い頃、自分に女の子が生まれたら、カシオペと名付けようと考えていたらしい。
そしたら、2年前に家付き5ヘクタールのブドウ畑が売りに出て、これをふたりで購入。本当の子どもの生まれる前に大きな赤ん坊ができたんで、ワイナリーを「ドメーヌ・ド・カシオペ」にしたんだって。
準備の時期は「まるで星が降り注ぐような感じだったわ」とは、タルラの談。それからもうひとつ。
新谷:もうひとつ?
柳:このワイナリーでは、ビオディナミというブドウ栽培法も実験的に試されている。
嵩倉:なにやら新しいフィットネス法みたいな名前ですね。
柳:残念ながらクラリン、この栽培法で造られたワインを飲んでも痩せないんだな。
ビオディナミというのはオーストリアの人智学者、ルドルフ・シュタイナーの思想を反映した栽培法で、月の満ち欠けや天体の位置関係をもとに農作業を行う。
新谷:ミステリアス!映画の序盤のイメージと重なりますね。
柳:ちなみにタルラとユーゴは大学の同期だけど、その後、別々の師匠のもとでワイン造りの修業を終えてゴールイン。永遠の愛を誓ったわけだね。
ワインはふたりの性格どおり純粋無垢。染み入る味わいです。あっ、それから。
嵩倉:それから?
柳:ビオディナミには、花の日、葉の日、実の日、根の日があって、花と実の日はワインが美味しく飲め、葉と根の日は飲むのに不向き。今日は幸運にも実の日だ。
嵩倉:では嵩倉、今宵はカシオペのワインを片手に映画鑑賞します。ただ、永遠の愛を誓う相手がそばにいないのが残念……。しくしく。
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専門誌からライフスタイル誌まで幅広い分野の雑誌で執筆を手掛け、切れ味あるコメントに定評があるワインジャーナリスト。涙もろいので映画鑑賞の際は要注意。
映画を中心に、書いたり取材したり喋ったり......。現在公開中の映画『レジェンド&バタフライ』の公式ライターとして、劇場プログラムを担当。ワインは赤が好み。
本連載の担当になって5年目に。ワインの知識は少しずつでも着実に積みあがっていると信じ、柳氏にしがみつく日々。最近、恋愛映画はセンチメンタルになりがち。
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