おうちシネマは、ワインと楽しもう!号泣必至の名作には、イタリアの「カシオぺ」を

達人が厳選したワインを、数多く紹介してきた本連載が大幅リニューアル!

今回から映画のスペシャリストをお迎えし、大人が今観ておきたい名作と、それにちなんだワインのマリアージュをお届けする。

今月は、あの泣ける名作ラブロマンス。今宵はこの1本で、おうちのシネマタイムを盛り上げよう!

天文学者と女学生との死を超越した永遠の愛


:おぉ……。

嵩倉:柳さん、どうしたんです?

:ああ、クラリン(編集担当の嵩倉)。映画コラムニストの新谷里映さんにすすめられて、『ある天文学者の恋文』を観てるんだけど、ジェレミー・アイアンズとオルガ・キュリレンコの「永遠の愛」にもう涙が止まらない。

新谷:ワインジャーナリストってクールで、シリアスな恋愛映画にも動じないものと想像してましたが、まさかこんなに涙もろいとは。

:僕は仕事柄、機内で映画を観ることが多いんですけど、感動シーンではすぐボロ泣きするので、いつも隣の席の人やCAにドン引きされちゃうんですよ。

嵩倉:で、いったいどんな映画?

新谷:ジェレミー・アイアンズ演じる天文学者のエドとオルガ・キュリレンコ演じる学生のエイミーは、年の離れた恋人同士。

ある日、エイミーは突然エドの死を知る。ところが、その後も彼女の元にはエドからの手紙が届き続けるんです。

嵩倉:ホラー映画?

新谷:いえいえ、恋愛映画です。

:だからクラリン、永遠の愛って言ってるじゃん。

今月のワインシネマ『ある天文学者の恋文』


【STORY】 著名な天文学者エドが人生の最期に残したのは、秘密の恋の相手、教え子エイミーへの愛だった。

亡き後もエドからエイミーへ次々と届く手紙や動画を通して、永遠の愛とは何かを考えさせられるミステリー・ラブロマンス。

監督はジュゼッペ・トルナトーレ、音楽はイタリアの作曲家エンニオ・モリコーネ。


愛する人のため、一生涯生き続けようともがく。この愛は年齢を重ねた大人にこそ響く


遠く離れて暮らしていた天文学者のエドと教え子のエイミー。エドの生前は頻繁にビデオ通話をして、遠距離の恋を育んでいた。

画面越しの彼を愛おしそうに見つめるエイミーの姿が、劇中には度々登場する。



新谷:ところで柳さん。ふたりの思い出の場所であり、エドが最後の日々を過ごしたボルゴヴェントーソのリストランテで、ふたりが撮った写真の中にワインボトルが写っているの気がつきました?

:職業柄、ドラマの中にワインが出てくるとガン見しちゃうんですけど、ラベルまではよく見えませんでした。

そもそもボルゴヴェントーソって架空の村だか島で、ロケに使われたのは北イタリア・ピエモンテ地方のオルタ湖に浮かぶサン・ジュリオ島だとか。

イタリア人というのはフランス人以上に地元のワインを愛してるから、そのあたりならガッティナーラかな。

嵩倉:さすが、柳さん。ではそのワインを飲みながら、私はじっくり鑑賞させていただきます。

:ちょっと待った、クラリン!劇中登場した……かもしれないワインじゃ安直にもほどがある。

新谷:では、この映画を観て嗚咽をもらすほど感動された柳さんなら、どんなワインをオススメ?

:ふ〜む、そうですな。カシオペなんかどうかな?

嵩倉:えっ、ペネロペ?

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