ごめん、今日も遅くなる。 Vol.17

2022年ヒット小説ランキング 第4位「ごめん、今日も遅くなる。」をおさらい!

「あんなに優しかったのに、一体どうして?」

交際3年目の彼氏に突然浮気された、高野瀬 柚(28)。

失意の底に沈んだ彼女には、ある切り札があった。

彼女の親友は、誰もが振り向くようなイケメンなのだ。

「お願い。あなたの魅力で、あの女を落としてきてくれない?」

“どうしても彼氏を取り戻したい”柚の願いは、叶うのか――。


2022年は、本当にありがとうございました。2022年ヒット小説総集編、「ごめん、今日も遅くなる。」一挙に全話おさらい!

第1話:「あの女を、誘惑して…」彼氏の浮気現場を目撃した女が、男友達にした依頼とは

「賢也の浮気相手を口説いて、落としてみてくれないかな?」

創は目をしばしばさせて、「え?」と言った。

「突拍子もないことを言ってるのは、わかる。でも創が誘ったら、きっとあの人はすぐに賢也への興味をなくすと思うの。そしたら賢也は、泣く泣くでも私のところに戻ってくるわ…」
「…それ、柚は幸せなの?」
「なんでもいいの。賢也を失いたくない」

どんな手を使ってでも、賢也との未来が欲しい。その気持ちだけが、柚の心に溢れていた。

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第2話:「休日出勤」と嘘をついて浮気しに行く彼を、見送る土曜日…。女が直後に取った行動は

スマホを見てもいいことがないのはよくわかっている。しかし、このまま疑い続けて、あることないことで気を揉むのはどうしても嫌だった。

― なにかあるなら、一刻も早く知りたいの。

そこで柚は、布団に入って賢也を待つ。そして賢也が来て眠ってしまうのを確認してから、指紋認証を使って彼のスマホのロックを解除したのだ。

― え。なによ、これ…。

LINEを開いたその途端。目に入ったのは、「槙野 穂乃果」という女とのトークと、真っ赤なハートマークだった。

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第3話:目の前を通り過ぎる、自分の彼氏と浮気相手。その夜、のうのうと寝ている彼の横で女は…

― 本当なら、ここですぐ見限って別れを告げるべきだよね。

しかし、できないのだ。馬鹿だとは思うが、まだ賢也のことが本当に好きだった。

― …もしかしたら、一時の気の迷いかもしれないし。そう信じたい。まだ、取り戻せるって信じたい。

そのとき、創が突然うなずいた。

「よし。今夜現場に行こう」
「…えええ、いいよ。だって、なんのために?」
「現実を見るためだよ。実感が湧かないとか言ってる場合じゃないから」

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第4話:彼氏の浮気を、気づかぬフリで泳がせていたら…。同棲中の部屋で女が目にした予想外の光景

「例の件だけど、びっくりするくらいうまくいってるよ」

柚は3日前、創に「穂乃果をおとしてほしい」などという無理なお願いをしていたのだ。

― そんなに早く手応えがあるなんて!

驚いていると、創はいつになく浮かれた声で、穂乃果との関係の進捗を語り始めた。

「あれから3日間、穂乃果さんとDMでやりとりしてたんだ。そしたらさっき、偶然近くにいることがわかって。勢いで2人で会っちゃった」
「え、もう会ったの!?」

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第5話:店を出た途端、女は彼氏に向かって泣き叫び…。幸せなディナーデートがぶち壊しになったわけ

― 穂乃果さんはもうすっかり、創に心変わりしたわ。

柚はドレッサーの前で微笑んだ。ここのところ、賢也の帰りは早い。週に何度も送られてきていた『ごめん、今日も遅くなる』のLINEから解放されたことが、嬉しくてたまらなかった。

毎晩、賢也と一緒に夕食をとれる幸せ…。

― ぜんぶ創のおかげ。感謝ね。

微笑みながら、ブラックのタイトワンピースを着た。今日は、賢也と久しぶりにディナーに出かけるのだ。

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第6話:同棲中の彼に、突然「別れたい」と言われた女。前に進むため彼の荷物をまとめようとしていたら…

突然言われた「別れよう」というセリフに、柚はうろたえる。

「待ってよ、賢也。ちゃんと話そう?」

賢也が勝手に止めたタクシーは、すでにドアを開いて停まっている。

「帰ってから、家でじっくり話そう?」

こんなところで突然「別れよう」と言われても困るのだ。せっかく穂乃果の心を、賢也から創に移すことに成功したというのに。しかし賢也は、かたくなに動こうとしなかった。

「ごめん。俺、諦められないんだ」

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第7話:「フラれたんじゃない、俺からフッたんだ!」恋の終わりをドヤ顔で語る元彼に、女はドン引きして…

「俺が戻ってきたのはさ、あの人にフラれたからじゃないんだよ」

賢也が急に語りだしたので、柚はその顔を一瞥し、無言で次の言葉を待つ。

「結局俺がフラれたんじゃなくてね、俺が、あの人をフってやったんだ。そのことを柚にどうしても説明したくて、戻ってきた」
「…はい?」
「俺、騙されてたんだよ。あの女は既婚者だった。俺はただ、既婚者の暇つぶしに使われただけってこと」
「既婚者…」

てっきり、穂乃果は独身であると思いこんでいた。しかし違ったのだ。

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第8話:彼氏の浮気相手のストーリーズ。映り込んでいた「そこにあってはいけないモノ」とは…

「大阪は今、雨か…」

柚は、遠くにいる賢也に思いを馳せた。今朝、賢也が引いていたRIMOWAのシルバーのスーツケースには、3年も前に柚がプレゼントしたラゲッジタグがついていた。

グローブトロッターのライトグリーンのタグ。付き合いたての頃に贈った思い出の品を、賢也は今でも大事につけてくれていたのだ。

― 穂乃果のせいで色々あったけど、一段と絆が深まったように思えるわ。

今回の騒動も、いつか笑い話にできるだろう。明るい将来を想像しながら、なんとなく穂乃果の様子が気になってインスタを開いてみた。

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第9話:“むこうの夫”に不貞をバラしに、自宅までおしかける女。「あなたの奥さま、昨日私の彼氏と…」

仕事を16時で終えた柚は、穂乃果の家がある吉祥寺に直行する。

夕方の街は、制服姿の学生たちや子ども連れの親子で賑わっていた。それを横目に、穂乃果が「近所のカフェ」と投稿していたオシャレなコーヒースタンドを探した。

「あれ?ここかな」

まさにInstagramに載っていたお店と同じ外観。そこを起点にして、柚は小一時間歩き回る。

そしてついに、インスタに載っていた穂乃果の自宅にそっくりな家を見つけた。

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第10話:彼のスマホに、ホテルの結婚式プランが…。女が顔をこわばらせた理由とは?

18時前にリモートワークを切り上げ、柚はひとりで缶ビールをあける。賢也にバチがあたる日がすぐそこまで迫っているのだと思うと、早くもせいせいした。

ほろ酔いのテンションで、柚は創に電話をかける。

「ねえ、聞いてよ。ついに賢也は、訴えられるわ」

慰謝料の話など、事の一部始終を興奮して話した。しかし意外にも電話の向こうで、創は困惑した声を出すのだ。

「…あのさ、柚。もういいから、別れたらいいのに。逆になんで別れないの?」

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第11話:無言で差し出されたAirPods。言われるがまま耳に入れると、とんでもない録音が…

創から「聞いてほしいモノがある」と連絡が入ったのは、その翌日のことだった。

一体なんのことだろうかと思い、ヒカリエのスターバックスへと向かう。テーブルにつくと、創は笑顔でAirPodsをひとつ差し出してきた。

「なに?」
「いいから、これ聞いて」

言われるがまま耳に入れると、創は自分のスマホからある「音源」を流し始めたのだ。

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第12話:「妊娠したわ」身勝手な理由で、夫に嘘をついた妻。それを知らされた夫の反応

柚は、音源を聞いてもにわかに信じられなかった。

「穂乃果さん…どうしてそんな嘘がつけたんだろう?」
「穂乃果はそういう人なんだよ。これ送るから、早く穂乃果の旦那さんに教えてあげたら?」
「ありがとう、そうするわ」

今回の穂乃果の嘘は、秀和の優しさを踏みにじる最悪な行為だと思う。怒りにまかせてアイスコーヒーを飲み干したとき、創は小声で言った。

「この音声で失望するのは、穂乃果の旦那さんだけじゃないだろうなあ」
「…どういうこと?」

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第13話:「正直、重かった」と別れ際に言ってきた彼氏。怒った女が取った行動とは?

怒りで燃えたぎるような心臓を押さえながら、柚は賢也を見て微笑んだ。

「賢也の言うとおりね。私もっと“追わせる女”を目指すよ」
「うん、そうするといいよ。じゃ、俺もう彼女のところに行くわ。今、夫に追い出されて、ホテルにいるみたいなんだ」
「…わかった。でも、ちょっとだけ待って?」

引き止めると、賢也は面倒くさそうに「なに?」と頬杖をつく。それを横目にスマホを手に取り、創から送られてきた例の音声データをタップした。

「あのね、最後にこれだけ聞いてくれる?ちょうど1週間くらい前の録音なんだけど…」

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第14話:同棲を解消したばかりの女。男友達から「そっちに行こうか?」と電話がかかってきて…

青山にあるマンションの7階。1LDKの角部屋に、秋めいてきた柔らかな風が気持ちよくそよぐ。

― こうしてひとりの部屋に身を置くと、あらためて、自分の人生から賢也がいなくなったって感じるわ。

最悪な彼氏だったけれど、いなくなるとほんの少しだけ寂しいものだ。

「疲れたし、一旦休憩!お腹すいたな。適当にUberでもとるかな」

そう思ったとき、柚のスマホに着信があった。電話は、創からだった。創はその電話で、思いもよらないことを報告してきたのだ。

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第15話:30直前で彼氏と別れても、また幸せになれる…?浮気彼氏を手放した後、待っていた未来とは

「あの…秀和さん、ですよね?」

目が合うと、秀和はハッとしたように細い目を開く。

「あれ、あのときの…柚さんですね。奇遇ですね」
「お久しぶりです」

こうして2人で話したのは、吉祥寺にある秀和の自宅にまで押しかけたとき以来だ。

― あのときの秀和さんは、見るからに疲れきったビジネスマンという感じだったけれど…今日は、様子が違うわ。

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