和食好きの彼女を誘ったら絶対喜ぶ!心地良くほろ酔える、港区らしい高級店6選

4.店中を包み込む一流の出汁の香りに癒される@南青山
『伯雲』


閑静な住宅街の中という驚きのロケーションにあり、さらに出汁の香りに包まれるひと幕もある和食店『伯雲』

孤高の存在感でふたりの夜を魅了する。

暗闇の中でぽつんと灯る温かな明かりが、人を呼び寄せる

大通りから一本入り、夜になるとひっそり静まり返る南青山の高級住宅街に『伯雲』は佇んでいる。物静かな周囲から、ぽつりと浮き立つように忽然と現れる温かな光が目印となる


目の前でシャカシャカと音を立て、鰹節が削られる。「どうぞ」と削り立てのふわふわを、笑顔で差し出す店主の坂本慎吾さん。

口に含めば、柔らかい口溶けにまず驚き、口いっぱいに広がる強い旨みと香りにまた驚く。

静かに湯気を立てる鍋に入れれば、店中に出汁の優しい香りが充満。体ごと包まれる、この感覚も初体験だ。

素材の味を最大限に引き立てた、実直な料理に心打たれる


「前菜」は伊勢海老と海老芋。

殻付きでサッと炙ったエビは半生のところもあり、食感のコントラストが楽しめる。


鯛とあん肝を盛り合わせた「お造り」。

肝あえの要領で酢橘ポン酢と食べれば、コリコリの歯応えと濃厚な旨みが味わえる。

「焼物」は甘鯛のうろこ焼き。230℃の油で揚げ焼きし、うろこをパリパリに。最後に炭火で焼いて仕上げる


坂本さんが料理で最も大切にする、美味しさの要は「香りと食感」。出汁はその場で引くなど、一つひとつの料理で手間は惜しまない。

例えば、鴨なら火入れは何度も。まず皮目を繰り返し焼いて余計な脂を完全に抜き切り、バキバキと音がするほどクリスピーな食感を作る。

身はわらで燻して香りをまとわせ、続いて炭火でサッと炙り、みずみずしく。

仕上がりはいたってシンプルだが、その実、驚くほど繊細に素材を扱い、持ち味を極限まで高めている。


提供直前に出汁を引く「お椀」の種は、松葉ガニのしんじょう。


2品目の「お造り」は鰹の塩たたき。薬味に大葉や茗荷、玉ねぎなどの針切りを添えた。


ラストの「焼物」が鴨。青森・三戸の「銀の鴨」を使用。当たりの柔らかい海塩で食べる。

すべて「おまかせコース」(28,600円)より。

目の前で削られる鰹節の香りに、心が静かにざわめいてくる


程よい水分を含んだ鹿児島・指宿の本枯節を使用。摩擦熱による劣化を防ぐため、複数本を用意する。

利尻昆布で丁寧に引いた出汁と合わせる。

南青山を進んだ先にある和食店で、一流の料理を楽しむ悦楽

カウンターは、柾目が美しい吉野ヒノキの一枚板。土壁など京都を思わせる素材も使われており、上質を形にしたような風情に品格すら漂う


「技術的なことは最小限です」と笑うが、『龍吟』出身の腕は確か。

この隠れ家には、ふたりを夢中にさせる驚きの日本料理が待っている。

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