29歳のグレー Vol.2

同窓会で憧れていた女子に再会したら…。変わり果てていたうえに、衝撃の事実を告げられ

29歳―。

それは、節目の30歳を目前に控え、誰もが焦りや葛藤を抱く年齢だ。

仕事や恋愛、結婚など、決断しなければならない場面が増えるにもかかわらず、考えれば考えるほど正解がわからなくなる。

白黒つけられず、グレーの中を彷徨っている彼らが、覚悟を決めて1歩を踏み出すとき、一体何が起こるのか…。

◆これまでのあらすじ

智也は中学の同窓会に参加した。すると「30歳になるまで独身だったら結婚しよう」と当時複数人と約束していたことが発覚する。憧れていた飛鳥にも悲愴感の漂う様子で「約束覚えている?」と言われてしまい…。

▶前回:「30歳になったら結婚しよう」かつて約束していた女が、目の前に現れて…


29歳の約束【後編】


『前野君、LINE届いてなかったかな?念のためもう1度送るね』

昼休み、智也はスマホを眺めながら頭を悩ませる。

昨日、同窓会で飛鳥と再会し、朝起きるとさっそくお誘いのLINEが届いていた。

『よかったら近々お食事にでも行きませんか?』

続いて、日時と場所の提示されたメッセージも届いた。

いったん保留にして出勤すると、昼には返事を催促されていた。

― はぁ…。まさかこんな面倒なことになるなんて…。

かつて自分の蒔いた種が花開いたわけだが、思い描いていた状況とあまりに差が大きい。

中学のころに放っていた、眩いばかりの輝きが失われてしまった飛鳥に、どう対応していいものか思案に暮れる。

おそらく飛鳥は思い込みの激しいタイプであり、不遜な態度をとってしまうと危険な行動に出る可能性もある、と智也は考える。

― 俺も年貢の納めどきか…。

だが、飛鳥のもとに収まるつもりはない。

実は智也には、4年ほど交際している同じ年の彼女、佳穂がいる。

佳穂とは、同僚が開いた食事会で知り合った。

智也の同業他社の商社で経理を担当している。地味な印象だったが、話が合い、なんとなく後日食事を共にして交際に至った。

フィーリングが合ったのには、同じ年齢だったという理由もある。

ただ、互いに29歳になり、なんとなく佳穂から結婚を意識するような発言が増えてきていた。

智也はそれに気づいていたものの、まだ落ち着きたくないという思いから、のらりくらりとかわしていたのだ。

― 久々に連絡してみるか…。

智也は佳穂に、一通のLINEを送った。

この記事へのコメント

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No Name
先週は5歳位年下じゃないと恋愛対象にならないとか言ってたのに、同い年の彼女がいたのかよ…
色々とバチが当たったみたいでいい気味。
2022/11/27 05:3981
No Name
クラスの女子たちもくだらない事考えるね。いい大人が、何やってるんだか。
2022/11/27 05:3566返信4件
No Name
智也のダメンズ具合にイライラしました!!
2022/11/27 05:5244返信1件
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