日本酒が軽快にすすむ鮨の名店2選。「つまみ」も主役級の実力派!

2.握りの前に供される、『青柳』仕込みの煮物の完成度に心を打たれる
『鮨 こまり』

脂のりも適度にあって美味しい初夏の金目鯛に、これまた旬の焼き茄子を合わせた。滋味深い出汁を含んだ高野豆腐も見事で、彩りに添えた春菊も美しい


素材の滋味が凝縮した旨みに、老舗料亭で身につけた仕事が光る


『青柳』といえば、名だたる料理人を輩出してきた日本を代表する料亭だが、『鮨 こまり』の大将・福嶋 敏さんは、その東京本店で修業。

「素材の良さをきっちり引き出す技術を学びました」と、当時を振り返る。

この日の煮物椀は「キンメダイの淡煮」で、金目鯛の出汁と酒だけで炊いたシンプルな美味しさに、修業の成果が生かされている。

身はふっくらと仕上がっており、味わいも繊細だが、「実は火を入れる前に、まず昆布で締めて旨みを凝縮しています」とのことで、これはまさに鮨店の知恵。

こうした手法を、福嶋さんは銀座『九谷』(現『鮨 たかや』)など都内の人気店で会得してきた。


徳島で“ボウゼ”と呼ばれて姿寿司にされる「エボダイ」を、江戸前の握りで提供。

すだち酢の効果で涼やかな味わい。

「赤身」の本まぐろは、仲卸『樋長』から仕入れる。この日は大間産。酢飯は宮城のササニシキに赤酢のブレンド。ともにコース(19,800円)より


握りでも、すだち酢で締めたエボダイなど、他ではあまり見られないネタもあって、個性を実感する。

「すべては魚本来のポテンシャルをしっかり引き出すため」と語る福嶋さんにとっては、鮨も一品料理も、魚を美味しく食べるためのひとつの手段。

理にかなった仕事で、新境地を切り開く。


白木が美しいカウンターに整然と8席を用意。

港区だが、界隈は落ち着いた雰囲気漂うオフィス街で、その空気感にふさわしい静謐さだ。


作家の器が多く、右は辻村 塊さんの信楽焼、左は橋村大作さんのガラス皿。


福嶋さんは、地元・秩父の鮨店からキャリアをスタート。その後、出汁の奥深さに惹かれて日本料理の修業も開始。

鮨店と和食店を掛け持ちでわたり歩きつつ、研鑽を積んできた。



握りに引けをとらないほどつまみにこだわり、舌の肥えた東京の鮨ツウを大満足させる2店。

気が付けば、日本酒が止まらなくなっているだろう!


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