ごめん、今日も遅くなる。 Vol.6

同棲中の彼に、突然「別れたい」と言われた女。前に進むため彼の荷物をまとめようとしていたら…

「あんなに優しかったのに、一体どうして?」

交際4年目の彼氏に突然浮気された、高野瀬 柚(28)。

失意の底に沈んだ彼女には、ある切り札があった。

彼女の親友は、誰もが振り向くようなイケメンなのだ。

「お願い。あなたの魅力で、あの女を落としてきてくれない?」

“どうしても彼氏を取り戻したい”柚の願いは、叶うのか――。

◆これまでにあらすじ
イケメンの親友・創のおかげで、賢也と穂乃果を引き離すことに成功した柚。しかし賢也は穂乃果を諦めようとせず、一方的に柚に別れを告げるのだった。

▶前回:店を出た途端、女は彼氏に向かって泣き叫び…。幸せなディナーデートがぶち壊しになったわけ


突然言われた「別れよう」というセリフに、柚はうろたえる。

「待ってよ、賢也。ちゃんと話そう?」

賢也が勝手に止めたタクシーは、すでにドアを開いて停まっている。

「帰ってから、家でじっくり話そう?」

こんなところで突然「別れよう」と言われても困るのだ。せっかく穂乃果の心を、賢也から創に移すことに成功したというのに。

しかし賢也は、かたくなに動こうとしなかった。

「ごめん。俺、諦められないんだ」

「なにが」

「彼女のこと。この前、突然フラれた…。でも俺、それでも大好きなんだ」

開き直って「大好き」と公言する賢也に、柚は無言で目を見開く。

「だからこれ以上柚にすがりつかれても、俺はもうなにも感じない。…ただ、あの人に会いたいなーって思うだけだ」

「…なによ、それ」

「俺、今から気持ちを伝えにいこうと思う。あの人に、もう一回だけ」

「ごめん」と賢也は、申し訳なさそうに頭を下げた。

それからスッと踵を返す。その背中を見て柚は、ようやく「これはもう無理だ」と悟るのだった。

ほとんど押し込まれるように賢也にタクシーに乗せられた柚は、覚悟を決めて小さな声で行き先を告げる。

「運転手さん、お待たせしてすみません…。青山方面へお願いします」

最後に窓から賢也の様子を確認するが、当然こちらの方など見ずに、どこかへ歩いていっていた。

玄関に着いた途端、がっくりと座り込む。

― ついさっき、浮かれ気分でこの部屋を出たばかりなのに。

まさか1人で部屋に帰宅することになるとは。

― 穂乃果さんのせいよ。穂乃果さんさえいなければ、きっと今もこの部屋で賢也と…。

柚は、震える指先で創に報告のLINEを入れる。

この記事へのコメント

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No Name
あぁ、もうすごいイライラする展開。
2022/06/24 05:0999+返信5件
No Name
この連載に出てくる人たち、全員最低だなぁって思う。 
穂乃果さえいなければこんな事にならなかったと思う柚も間違ってるし、数日しか経ってないのに、のこのこ現れてやり直そうとか言う謙也もどうかしてる。
2022/06/24 05:1176返信1件
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好きでも何でもない人が作った手料理を食べたいなんて…どういう心境?
2022/06/24 05:1354返信3件
No Name
創が、任務完了で穂乃果に冷たくするとか音信不通にすれば、穂乃果も賢也の方に戻ってくるかもよ。そしたら、また賢也は柚を捨てるけど、それでいいの?
2022/06/24 05:4336返信2件
No Name
賢也、帰ってくるなよ。
2022/06/24 06:4824
もっと見る ( 37 件 )

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