木原美芽の「東京ダイニングシーン」 Vol.1

ジュウロクミリ

十六公厘

「クセ」になるのは、味か主か。
神楽坂奥の中華バー

店主・佐藤洋さん

ドアを開ければ、「そんなに頻繁に来ちゃダメ。飽きちゃうでしょ」。白いごはんに鶏キモのタレかけて食べたいなー、「ウチは飲み屋なんだから、ごはんより酒飲みなさい」。

えー、じゃあ紹興酒のお燗、おかわり。「あのね、飲み過ぎだから」。

もうどうせいっちゅうのと、ふくれっ面してみせても、店に美味しさの磁力があるから主の佐藤洋さんには敵わない。最寄りは牛込神楽坂。都心の住宅地の一角だ。

黒板メニューは自家製腸詰とシュウマイ以外、日々微妙に変わる。「幾種類も素材は使わないし、調味料だって家庭にあるようなもの」と佐藤さんは言うけど、イチから全部自分で作る。仕込みは毎日午後1時から。

接客の女性はいても料理はひとり。「自分がやりたい店をやるって決めたから」。限られた時間と手間、だから彼にはルールがある。肉がメイン、酒が主役、ごはん・麺には手を出さない。『希須林』で20年料理人を務め、魚と野菜を使う中国料理はとことんやったのに、潔くばっさり。

夜が更ければ更けるほど、近所の住人がひっきりなしに現れる。街が、ちゃんと深呼吸して生きるには、こういう店が、必要なんだ。

チョッパーのパーツ。一般の挽肉なら3.2ミリ穴だが佐藤さんは16ミリを使う。だからこの店の腸詰は存在感ある粗挽き。店名はこれに由来

自家製腸詰¥800。にんにく、香草、甘辛い自家製味噌で

油淋鶏¥700。「ウチは野菜、ないから!」というけど、ここには素揚げのそれがてんこ盛り

個人的なイチ押し、鶏キモ(辛)¥600

●きはらみめ
LEON、料理王国を経て、食専業のフリーランスライターに。ワイン専門誌『ワイン ホワット!?』にも携わる。趣味は酒と猫。ウォッカの産湯につかり、日本酒で肌を磨く。


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