Transform〜あなたは今の自分に満足してますか?〜 Vol.1

社内格差に焦りを募らせる35歳男。名誉挽回のために始めた秘策とは

この世には2種類の人間が存在する。

「筋トレする者」と「筋トレしない者」だ。

若いうちはあまり差が目立たない両者だが、社会人として成熟していくほど見た目も中身もみるみる差がついていく。

鍛える者は逞しい体で栄光の架け橋を渡り、鍛えない者はブヨブヨの体で転落の一途をたどる。

だが、あきらめる勿れ。

人生のピンチは筋肉が救ってくれる。

これは、冴えない男が筋トレの神様と出会い、一発逆転を狙うストーリー。

チャンスを掴むのか手放すのか、あなたのパソコンやスマホからも、筋トレの神様が手招きしている――。


「ずっと伝えるか迷ってたんですけど……幸也さん、太りました?」

営業部の後輩・佳那が、思いきった表情で声をかけてきた。

大手メーカーに勤務する俺は、同僚たちに誘われて久しぶりに飲みに来た。

明るくて仕事熱心な佳那と同じ部署になってから4年。

35歳になったばかりの俺より7歳下の佳那の仕事を、近しい先輩としてサポートすることも多い。

そんな佳那が発した問いに、俺は動揺を隠せなかった。

「そ、そうかなあ?別に体重は学生時代とほとんど変わってないけど…。お前が酔っぱらいすぎなんじゃない?」

思わずキツイ口調で佳那から目を背ける。なぜなら、俺自身も無自覚ではなかったからだ。

実際のところ、体重は昔と比べて3kgも増えていない。むしろ、腕や脚は学生時代より細くなった。

しかし、あごの下の肉や、ベルトの上にのりはじめた腹の存在には気づいていた。

平静を装うため、好物の唐揚げに箸を伸ばす。佳那との会話を聞きつけた同期の健が話しかけてくる。

健は、もともと俺と変わらない背格好だったが、2年前からパーソナルジムへ通い始めてからというもの筋肉自慢が鼻につく。

今日も、これ見よがしにYシャツの袖をまくって筋肉質な腕をアピールしている。

「幸也、何かトレーニングやってないの?この年で運動ゼロはヤバいぞ!仕事ばっかりやってないで、ジムにも行けよ」

健は、最近になって実績を高く評価されるようになり、春に昇進した。今日の会は健の昇進祝いが本来の目的だ。

正直、俺は健より真面目に仕事に取り組んできたと思っている。なのになぜ、コイツばかり注目されるのだろう。

「一般人がジムなんて行っても何も変わらないだろ。それに俺、別にマッチョになりたくないし」

そう答えると、健は「よくいるよな〜、おまえみたいなやつ」と言って鼻で笑った。佳那がこちらを見ているのがわかったが、視線を上げられない。


その夜、夢の中に佳那が出てきた。

『幸也さん、太ってだらしなくなりましたよね。頼り甲斐がなくて不安なので、これからは健さんに相談します』

勝ち誇った顔で健が俺を見下ろす――

目覚めは最悪だ。

起き上がってパソコンデスクの前に座り、フードデリバリーのサイトを開く。

ハンバーガー、ポテト、ナゲット、デザート……食べたいものを好きなだけ追加する。

このままだとデブ中年まっしぐらだとわかっているが、むしゃくしゃして食欲が抑えきれない。

「こんなにがんばってるのに、頼り甲斐がない? じゃ、どうやって身につけろっていうんだ!」

注文ボタンを押そうとしたそのとき――


プツン・・・・・・

突然、パソコンの画面がブラックアウトした。

まさか故障!?

真っ暗な画面を覗き込むと、ぼんやりと人影が浮かび上がる。

映し出されたのは、見知らぬマッチョの男。

「幸也さん、いまが大変身のチャンスです! 悩みも脂肪も、筋トレでスッキリ解消しましょう!」

マッチョの男が笑顔で語りかけてきた。


この記事へのコメント

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No Name
トレーナーさんがイケメンすぎてトレーニング内容が入ってこない笑
2022/05/14 06:324
No Name
特別な道具も必要ないし、簡単に始められそう!
2022/05/14 05:223
No Name
35歳で太るがリアルすぎる…。
2022/05/14 06:173返信1件
No Name
リモートワークで体がなまったてからありがたい…!
2022/05/14 08:063返信2件
No Name
お、おもしろい‥!
2022/05/14 05:202返信2件
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