2022.02.25
現代の“教育・お受験”リアルドキュメント Vol.10世界で最も使われている言語は何だろうか。
誰が何語を話すのか、その正確な数を測定することは困難とされる。
しかし文科省が中央教育審議会などで参考にする資料によると、母語別での使用人口が最も多い言語の1位が中国語(北京語)、2位が英語、3位がスペイン語、4位がヒンディー語という順になっている。
これに限らず、母語別での使用人口を調査した多くの結果で、中国語(北京語)、英語、スペイン語、ヒンディー語が上位を占有していると言っていいだろう。
では母語だけでなく、第二言語や独自に習得した言語習得者の数も含めると、どうだろうか。
ある民間の調査結果では13.5億人が英語を話すことができるとし、その数は11.2億人という北京語スピーカーの数を上回り、堂々の1位となっている。
なお、日本語を使用可能な人口をみると1.3億人という結果だ。
世界の人口が78.7億人と考えると、6人に1人弱の割合で英語を話せるということになるが…。
日本語ともなると約60人に声をかけて回って、ようやく1人、話の通じる相手が見つかるかどうかなのだ。
前回の記事はこちらから
浪人してまでアイビー・リーグに進学しようとしたけれど…。TOEFL100点の男が、失敗の道を辿ったワケ
▼INDEX
1. データが如実に物語る、日本の英語教育の欠点
2. 「学校の先生には任せておけない」それが親の本音
3. 世間の親は、我が子への英語教育をどうしているのか?
4. 実際の英語教育で「効果があったもの、なかったもの」
データが如実に物語る、日本の英語教育の欠点
では日本語を母語とする日本人が、世界標準語といっても過言ではない英語を使いこなせているかというと、お世辞にもそうだとは言えないだろう。
平成29年、文科省は全国の中学3年生約6万人(国公立約600校)と、高校3年生約6万人(国公立約300校)を対象に、英語力調査を実施している。
日本の英語力不足を解決するために、この結果を学校での指導や生徒の学習状況の改善に役立たせようというわけだ。
生徒たちは英語の4技能、「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」それぞれの試験を受け、無作為に抽出されたなかで平均スコアが出される。
この平均スコアが、言語能力を評価する国際指標が定める6段階評価のなかの最低レベルを、どの程度上回っているかを見ているのだ。
その結果を、まずは中学3年生の方から見てみよう。
「聞くこと」が最低レベルを上回る割合は29.1%、「読むこと」は28.8%、「話すこと」は33.1%、最後の 「書くこと」に関しては46.8%となっている。
いずれも文科省が目標とする50%には達しておらず、「書くこと」はそれなりにできていても「聞くこと」「読むこと」「話すこと」ができていないのだ。
では、高校3年生での結果はどう変化しているのだろうか。
こちらは中学3年生よりも基準レベルが一段だけ上がるが、評価方法は同じだ。
その結果、「聞くこと」は33.6%、「読むこと」が33.5%、「話すこと」が12.9%、「書くこと」19.7%となっている。
やはり文科省の目標である50%に遠く及ばず、とくに「話すこと」は中学生よりも悪くなってしまっている。
また、TOEFLを作成する団体が国別平均スコアを毎年公開しているが、直近のデータ(2019年)で日本は170ヶ国中で146位。
項目をスピーキングに限定すると、アフリカのコートジボワールなどと並んで、全170ヶ国中最下位だ。
こうした現状に危機感を抱いて慌てているわけだが、他方で子どもを持つ親たちは、この現状をどう見ているのだろうか?
今回、教育に関心のある子育て世帯を対象に「英語教育についてどう考えているか」をWEB調査した。
…すると、その実態は冷静沈着そのものであった。
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