銀座で愛され続ける老舗おでんを徹底解剖！冷え込む夜に味わいたい名店2軒

2．昭和のスターをはじめ、粋な大人が通う高級おでん『おぐ羅』

誰しもが熱狂した野球選手をはじめ、国民的スターも通ったのがここ、『おぐ羅』。今も一流と呼ばれる常連は多く、彼らが惹かれるのは透明感ある出汁だ。

特筆すべきは出汁の旨みとたねの旨みの完全なるマッチング。

そんなおでんをどう味わうかを知れば、粋な大人の遊び方が見えてくる。

どこまでも澄んだ出汁。まずはひと口味わうのがツウの楽しみ方！

かつて、携帯の電波が入りづらい地下1階は好都合だった。何にも邪魔されず、酒とおでんに耽ることができるのだから。

そう語るのは、カウンターに立つ店主の川上雅彦さん。

開業時から36年銀座の夜を見てきた知見から、おでんの粋な楽しみ方を聞くと、「みなさん、まずはお出汁をひと口飲まれます。冷めないように1〜2品ずつ頼んで、常に熱々を食べるのは慣れてる方」とのこと。

特に冬は冷えた体に滋味深い澄んだ出汁が染み渡り、ひと口で生き返る。

そして、喉元から上がってくるのは甘く長い余韻。それは、利尻昆布と枕崎の鰹節に調味料は塩だけという潔さゆえの奥深さだ。

ベースが最少限だから、30種以上の具材の旨みが混ざった時の一体感がこの上ない。

詳細な価格表記はないものも多い。肩ひじ張らない雰囲気でも、銀座の空気を感じる一面だ。

人から見えづらい奥を好む人もいれば、おでん鍋を目の前にするコーナーを狙う人も。

テーブルと個室もあり用途の幅は広い。

錫のやかんで温めるお燗は39度がベスト。錫に入れることでまろやかになり、口当たりが最高だ。

日本酒は開店時から「白鹿特選」を使用。880円。

熱い出汁に燗酒というあったかマリアージュも手練な大人の好物。

いざ、合鴨を詰めた牛蒡や柚子を効かせた鯵のつみれを食べれば、日本料理の一品のような丁寧な作りで、これまた酒に合う。

そして〆は出汁で炊いた茶飯。徹頭徹尾、老舗の出汁が教えてくれるのは、昔から愛されてきた旨みの凄さと香りが織りなす上質な時間なのだ。

隠れた名品。出汁で炊いた茶飯にさらに出汁をかけていただく。440円。

この透き通った出汁のおでんを自宅でも！

要予約でお土産も用意。密封容器にお出汁もたっぷり入れてくれるのが嬉しい。

近隣の店へは鉄鍋に入れたおでんの出前も行っている。おまかせ8種 3,672円、12種 5,184円。

◆

寒い日には、なぜか銀座のおでん屋にスッと足が向いてしまう。

長年受け継がれた深い出汁の、確実に口福を感じられる老舗の味がそこにあるからだ。


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