2022.01.22
Age33~分岐点の女たち~ Vol.130歳からの婚活
「梨沙子さん、どうですかこのお店。すっごく雰囲気いいでしょ?」
「…本当ですね~、今日は晴れてるから気持ちもいいですね。連れてきてくださって、ありがとうございます!」
雄介の衝撃の告白から、3ヶ月ほど経った土曜日。
代官山にあるレストランのテラス席で、私は目の前にいる男性に無理やり調子を合わせていた。
失恋には新しい恋が1番の薬だと友人たちに言われ、最近は無理やり気持ちを奮い立たせて婚活をしている。
彼とはこの近くで行われた婚活パーティーで、先ほど知り合ったばかり。熱心に話しかけられ「近くにとっておきのお店がある」と言われたから、ランチすることにしたのだが……。
到着してみたら、少し前に流行った定番のレストランだったので、拍子抜けした。
20代前半では女子会やデート、お食事会と、何度もここを訪れたものだが、他にもたくさんの素敵なお店を知ったここ数年は、すっかり来ていなかった。
― そもそも冬にテラス席って、寒いし。
「梨沙子さんみたいな綺麗な人と食事できるなんて、ラッキーだなあ。婚活パーティーに来る女性で、あまりタイプの人に出会ったことないからさ」
上機嫌に喋る彼は、32歳・明治大学卒のメガバンク勤務。銀行と聞いて本部勤めを期待したが、入社以来ずっと支店営業で、丸の内で働いたことはないらしい。それでも婚活市場ではかなり人気があるのか、先ほどから自信ありげな発言も目立つ。
「ああいうパーティーに行くと、うちの支店のエリア職の女の子たちが、いかにレベルが高いかに気づかされるよね」
「はあ…」
「あ、もちろん梨沙子さんは別だよ?」
半笑いで受け流しながら、頭の中でついつい雄介のことを考えてしまう。
― 雄介だったら、このお店は選ばないし、こんな自慢げなトークしないだろうな。
◆
「あー、疲れた。愛想笑いして、調子合わせて。別に悪いお店じゃないけど、30過ぎて行く場所じゃないのよね。そこに、得意げに連れて行かれてもさあ」
彼と解散した後、渋谷のセルリアンタワーの『ガーデンラウンジ坐忘』に駆け込んだ。
近くに住んでいる友達を呼び出して、温かい紅茶を片手にひとしきり愚痴る。婚活を始めた最近は、女友達と過ごす時間が癒しになっている。
「婚活勧めた私が言うのもなんだけど、疲れるなら、しばらくゆっくり休むのもありだよ」
「別に、焦っているわけじゃないんだけどね。33歳までには、結婚していたいと思っているから。今は、リハビリのつもり…」
雄介と別れ、「30歳までに結婚する」という目標が潰えた瞬間、私の頭に浮かんだのは、愛美さんの“33歳が節目”という言葉だった。
失恋して焦った私は、30歳からの婚活について色んな人から情報収集をした。すると婚活でも、33歳を過ぎると急にハードモードになる、というのが現実らしい。
高齢出産のリスクを考えて32歳までの女性を希望する男性が多く、33歳になった瞬間、マッチングアプリの「いいね!」は、一気に減るというのだ。
― でも、私にはまだ時間がある。33歳の誕生日までに、結婚できていればいいわ。
1人でうなずきながら、紅茶をまた一口飲む。ティーカップをソーサーに戻す瞬間、ふと隣の席から視線を感じた。
「…あ」
目を大きく見開いて私を見つめていたのは、先ほどまで代官山で一緒にランチしていた彼だった。
▶他にも:プロポーズされた直後、彼のスマホに1通のLINEが。慌てた男が口にした衝撃の告白とは…
▶Next:1月29日 土曜更新予定
あけすけに話していた悪口を本人に聞かれていた梨沙子。男の反応は…
この記事で紹介したお店
ガーデンラウンジ坐忘/セルリアンタワー東急ホテル
雄介の収入なら500万円は安いと思ったけどそうでもないのね。
結婚が決まってたのに、からの婚活はしんどいと思うけど頑張って欲しいな。
人それぞれだけど、美味しいならちょっとディープでカジュアルなお店も行ってみたいし。
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