推す女 Vol.5

金曜22時の家デート中。いい雰囲気から一転、男が突然不機嫌になった“女のある行動”とは

どんなに手を伸ばしても、絶対に届かない相手を想う。

でも、その距離感さえ愛おしく感じる。

彼女たちが抱く想いは、憧れか、依存か、それとも本物の愛か?

結ばれることのない相手に人生を捧げる、女たちの心情を紐解いていく。

これは、「推し」がいる女たちのストーリー。

▶前回:「この男ないわ…」デート中28歳女が即断。別れ際、彼に言い放った強烈なセリフとは


恋人と推しのあいだで悩む女・真亜梨(25)【前編】


「今日はみんなありがとー!最後まで楽しんでいってね!」

渋谷の道玄坂にある、それほど広くはないライブハウス。

ステージの上には3人組の女性アイドルが登場し、ファンからの盛大な拍手に満面の笑みで応えていた。

― なんとか間に合ったぁ…!

息を切らしながら腕時計を確認すると、時刻は20時。

PR会社でメディアプロモーターをしている私は、TV局まわりを終えたあと急いでタクシーに乗り込み、汐留からここまでやってきた。

深呼吸をして、ステージに視線を戻す。1曲目が始まると、黄色いワンピースを身にまとった小柄な女の子がセンターに踊り出た。

彼女の名前は“高槻ゆず”。私が推している女性アイドルだ。

― ゆずー!!!

感染症対策で声が出せない代わりに、私は“ゆず”に向かって精一杯サイリウムを振る。すると、彼女は私に気づき目線を合わせて微笑んでくれた。

― 今日もしっかりレスしてくれた……嬉しい!

ゆずは、もうすぐ19歳になる大学生だ。学校とアイドルとの両立は大変そうだが、絶対にファンの前で弱音は吐かない。

今年で25歳になり、いよいよアラサーに片足を突っ込んだ私は、いつもそんなゆずに救われてばかりだ。

― ああ、仕事の疲れが浄化されていく。ゆず、私に癒しをありがとう……。

サイリウムをぎゅっと握り締めて彼女の姿を拝む。その一瞬一瞬を目に焼き付けようと、私は歌って踊る彼女をじっと見つめた。

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