SPECIAL TALK Vol.84

~一番眠りにこだわる人に最高の睡眠を。その熱意で倒産寸前の企業でも、世界レベルの製品を生み出せた~

令和のニューリーダーたちへ

水泳の北島康介さん、フィギュアスケートの浅田真央さん、テニスの錦織 圭選手、卓球の石川佳純選手など、日本のトッププレイヤーをはじめ、多くのスポーツ選手に愛用されている高反発マットレス「エアウィーヴ」。

社長の高岡本州氏は、37歳のとき、父の跡を継いで電力機器メーカーの2代目社長として、経営者の道を歩み始めた。

その高岡氏が、マットレスの製造販売に至るまでには、いったい何があったのか。

ときに息子を振り回す父は、真面目で誠実な経営者でもあり、社員からの信頼も厚い。

その姿を見ながら単なる2代目としてではなく、自ら道を切り拓いていった高岡氏の歩みから、先行き不透明な時代を生き抜く力を読み解く。

高岡本州氏 1960年、愛知県名古屋市生まれ。83年、名古屋大学工学部応用物理学科卒業後、慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程に進学。修了後、家業である「日本高圧電気株式会社」に入社し、スタンフォード大学大学院に留学。98年、日本高圧電気株式会社 代表取締役社長就任(現・取締役)。2004年、株式会社中部化学機械製作所(現・株式会社エアウィーヴ)を設立し、寝具の製造販売を開始。寝た時の感触よりも寝起きに疲れを残さないことを重視した寝具は、睡眠の新たな価値観を切り拓いた。2016年、起業家のための表彰制度「EY アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー 2016」(EY Japan主催)日本代表。2019年、財界「経営者賞」受賞。


金丸:本日は株式会社エアウィーヴの高岡本州さんをお招きしました。お忙しいところ、ありがとうございます。

高岡:こちらこそ、お招きいただき光栄です。

金丸:今日は白金高輪の『島津』でお話を伺います。目黒の『鮨 りんだ』の姉妹店、不動前の『らんまる』の大将が独立して、昨年11月にオープンしたお店です。「30歳までに独立する」という志を持って18歳で上京し、27歳の昨年、見事にそれを果たされました。江戸前を継承しつつ、新しい息吹も感じられる鮨をご堪能ください。

高岡:金丸先輩とのお話も、料理もすごく楽しみです。

金丸:高岡さんからは今のように「先輩」と呼ばれるんですが、それって、相手の懐に飛び込むための作戦ですよね(笑)。

高岡:いやいや、大学は違っても同じ工学部出身で、経営者の先輩でもあるから、間違いなく先輩ですよ。

金丸:それにお会いすると、エアウィーヴの商品をすごい勢いですすめられる(笑)。数々の有名スポーツ選手に選ばれている寝具メーカーの社長なのに、高岡さん自ら営業というか、プレゼンターというか、ものすごいパワーで商品の良さをアピールされますよね。

高岡:ありがたいことに、われわれのベッドやマットレスは、オリンピックでも採用されました。とはいえ、寝具業界のシェアで見ると3%ほど。まだまだ突き進まないといけません。

金丸:エアウィーヴはそれまでにない寝心地で、寝具業界に革命をもたらしました。今日は高岡さんの生い立ちからエアウィーヴ誕生秘話まで、じっくりと伺いますので、どうぞよろしくお願いします。早速ですが、お生まれはどちらですか?

高岡:名古屋市生まれの名古屋市育ちです。

金丸:たしか、お父様も経営者でいらっしゃいますよね。

高岡:そうです。昨年亡くなりましたが、日本高圧電気という電力機器メーカーの創業者でした。

金丸:きょうだいは、いらっしゃるのですか?

高岡:姉がふたりいます。

金丸:ということは、末っ子で長男。会社の跡取りとして育てられたのでしょうね。

高岡:特別扱いは受けていたと思います。ただ、父は「経営者は能力がなかったら務まらない」と言っていて、僕が子どもの頃は「継げ」とは言いませんでした。父よりも祖母や親戚の方が「あなたはいずれ継ぐんだから」という感じで。

金丸:では、自分が“お坊ちゃん”だという自覚はあったんですね。

高岡:自覚していたというより、小学校の頃は、友達からもよく「お前の親、社長だろ」と言われていましたね。ただ、中学からは私立の東海中学校に通い、周りに事業家や医師の子どもが増えたので、目立たなくなりました。

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