盛りラブ Vol.5

待望のイケメンと初デート!完璧なプランに女が失望した“ひとつの理由”とは

瑛太が迷いのない足取りで芹奈を連れてきたのは、ザ ストリングス 表参道のカフェ『ゼルコヴァ』だった。

「すごい…。素敵なお店ね」

芹奈は洗練された空間に感動し、屈託のない表情でそう言うと、瑛太は照れたように「良かった」と安堵した。

料理が到着してナイフとフォークを手に持ちながら、芹奈はチラチラと瑛太を見た。顔のつくり、ほどよく筋肉のついた腕、シンプルな服装。その一つひとつを目に焼き付けるように。

話の内容や一緒にいるときの雰囲気は、リモートでやり取りしているときと変わらない。でも芹奈は、瑛太が目の前にいるということに舞い上がっていた。

その大きな手に、触れたくてたまらない気持ちになる。

食事が終わり、ゆっくりコーヒーを飲んで会計を済ませると、瑛太は2枚のチケットを差し出した。

「次はここに行こうと思うんだ」

「え、これって!」

ランチのあと、瑛太が彼女を連れて行ったのは竹芝。有名なミュージカルの劇場だ。映画ならよくあるがミュージカルというセレクトは、芹奈にとって大きなインパクトがあった。

公演が終わると瑛太は、ホテル インターコンチネンタルにある『鉄板焼 匠』に芹奈をエスコート。ミュージカルの感想を言い合いながら、最高のディナーコースを堪能した。

“うっとり”

芹奈の心境は、その一言に尽きた。

― こんなに素敵なデートプランを考えてくれて、嬉しい。なんて完璧な人なんだろう!

夢心地のまま、瑛太とレストランをあとにする。竹芝の夜は、海の香りがした。

「ごちそうさまでした」

「いいえ。ちょっとブラブラする?ヒールつらくない?」

気遣いをしてくれる優しい瑛太の横で、芹奈はその距離を少し縮めるように歩いた。

― 夢みたいだな。こんなふうに、瑛太さんと恋人みたいに歩けるなんて。

芹奈はうっとりしながら、煌めく東京湾を眺める。そのとき、瑛太が真面目な声色で言った。

「芹奈ちゃん」

「ん?」

彼は、通路に建てられた透明のフェンスに手をかけ、海の向こうのビル群をじっと見つめる。


― 大事な話をされる雰囲気だ。

芹奈がそう確信すると同時に、瑛太は彼女の目を覗き込むようにして話しかける。

「あのさ、芹奈ちゃん。今までリモートでいっぱい話してきたけど、今日実際に会ってみて、ほんとに…」

強い海風がサーッと吹き、2人の髪を揺らす。

「ほんとに......


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