2013.04.20
森脇慶子が薦める、初夏に食べたい極上の“旬” Vol.1アンティカ トラットリア シュリシュリ
アスパラ尽くしで
初夏の香りを食す
「イタリアでは、季節ごとに各地で特産物の収穫を祝う祭りがあるんです。僕がいたボローニャ郊外、カステル・マジョーレでも、5月になると、レストランをあげてアスパラ料理を作り、お祝いムードに湧いていました」
懐かしげにこう語るのは、高橋健太シェフ、37歳。あの『ドンチッチョ』の姉妹店『シュリシュリ』の厨房を預かる実力派だ。ボローニャを中心に約6年、イタリア各地で研鑽を積んだ高橋シェフ。
修業先のレストラン『イル・ソーレ』で経験したアスパラ祭りの料理を、今回は誌上で再現。前菜からデザートのジェラートに至るまで文字通りアスパラ尽くしのフルコース。しかも、エウガネイ産野生のアスパラガスを、わざわざ取り寄せる熱の入れようだ。
「アスパラ祭りといえば、ヴェネト州バッサーノのホワイトアスパラが有名ですが、カステル・マジョーレでは野生のアスパラガスが主役。見た目は細いものの、味は、濃いですよ」
確かに栽培種に比べて細さは半分以下。だが、その華奢なスタイルにもかかわらず、プロシュートコットと合わせた“アスパラのサラダ”を口にすれば、香りの強さに圧倒される。まさに野っ原の香りそのもの。日本の山菜を思わせるような力強い味わいが印象的だ。クキクキッと小気味良い歯ごたえが、風味の高さを更に引き立てる。
続くリゾットも、茹でた皮と硬い茎の部分をペースト状にして加える芸の細かさだ。思えば、南ヨーロッパが原産のアスパラガス。この野生の味こそ、紀元前から親しまれてきたヨーロッパの初夏を告げる味と言えるだろう。
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