盛りラブ Vol.4

「リアルで会うのはまだ怖い」ズボラを隠して嘘をついた女。そこでとったある行動とは?

日曜日。芹奈と美羽は、六本木のカフェで待ち合わせた。

美羽は芹奈を見つけると、古くからの知り合いであるかのような親密さで「久しぶり」と笑いかけた。

「芹奈さん、あれから料理はした?」

「はい。ハンバーグ、もう一回家で作ってみました」

「すごい!」

ほっそりとした美しい手で小さく拍手する美羽。

「ねえ、彼について聞きたいな。どんな人なの?」

注文したコーヒーが届くとすぐに、美羽は興味津々で聞いてきた。芹奈はInstagramを開き、顔がわかる数少ない写真をいくつか見せる。

「わ、かっこいいね」

「そうなんです!」

2人でスマホを覗きながら盛り上がっていたちょうどそのとき、瑛太からLINEの通知が入ったのだ。

「再来週の金曜に東京に帰る用事ができました。土曜日の予定、どうですか?」

瑛太から、ついに誘われたのだ。

「え、これ彼だよね?やったね!いよいよだね!」

自分ごとのようにはしゃぐ美羽は「返事しなよ!」と笑顔で急かした。言われるがままに、芹奈はその場で返事を打つ。

「ちょうど空いている日です!楽しみにしています」

「俺もです。じゃあ、11時に表参道でどう?」

― どんなデートをしてくれるんだろう。

「表参道かあ。いいね、ワクワクだね」

美羽は、画面を覗き込んでニッコリ笑った。

カフェを出て美羽と別れ、駅までの道を歩く。するとすぐに、美羽からLINEで「初デートの準備のために」と、おすすめのネイルサロンが送られてきた。

― 美羽さん、親切だな。ホント素敵な人。

芹奈は微笑んだ。…その親切さには理由があることに、このとき芹奈はまだ気づかなかったのだ。


瑛太との約束の前夜。芹奈は、鏡に映る自分の頭からつま先までを眺め、吐息を漏らした。

ここ2週間でかつてないほど本気で自分磨きに取り組んだ結果、完璧なコンディションでデート前日を迎えられたのだ。

― よし。これなら瑛太さんも、ズボラのズの字も感じないと思うわ。

満足しながら、ベッドに入る。

― あー楽しみ!デートってこんなにワクワクするものだったんだ。

美容液を塗りたくってテカテカした顔を天井に向けながら、芹奈は思う。

会ったら、どんな感じなんだろう。どんな服で来るのかな。生で見たらもっとかっこいいのかな。

期待に胸を膨らませながら、眠りについたのだった。



瑛太とのデート当日は、カラリと晴れた。

朝からヘアサロンに行き、編み込みの無造作なハーフアップスタイルに仕上げてきた。完璧な自分にうっとりしながら、表参道駅の往来のなかから瑛太を探す。

そのとき、背後から声がした。

「芹奈ちゃん?」

振り向くと、そこには瑛太が立っている。

実物の瑛太。

その姿を見た芹奈は、マスクの下で口をポカンと開けたまま、静止した。

「…え?」

― かろうじて出る言葉は、これだけだった。


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待ちに待った瑛太との初デート。芹奈はあることに衝撃を受ける

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