絶食系女子 Vol.3

「年収3,000万以上の男がいい」彼氏いない歴4年。身の程知らずの29歳女の本性

元彼を超える人が現れなくて……


私は、恵比寿の自宅に帰り、シャワーを浴びて部屋着に着替えた。冷蔵庫で冷やしておいたミニボトルのシャンパンを飲みながら、録画していた番組を再生する。

大御所お笑いタレントが司会を務め、毎回様々なゲストが出演する、“家庭の医学”をテーマにした医療バラエティ番組。スタジオのパネラー席に座る、彫刻のような顔立ちをした白衣姿の男・真一郎。私は彼に釘付けになった。

「かっこいい……」

カッシーナのソファに体を預け、クッションを抱きしめる。テレビの向こうの彼を眺めながら、心の中では興奮と空虚がせめぎ合っていた。

4年前まで、真一郎は私の恋人だった。

“ミスター東大のイケメン外科医”という、いかにもメディアから好まれそうなスペックを持つ男。

さらに、様々なカルチャーに精通していて物知りだし、学生時代は陸上の全国大会に出場していたくらい運動神経抜群で、料理も得意。

私が高い理想を掲げているのは、完全に彼の影響なのだ。

真一郎とは、23歳の頃に大学の友達から誘われた食事会で出会った。私が、人生で初めて自分から恋をして、猛アタックした相手だった。

小さなアパレルブランドに勤める私なんかとは釣り合わないだろうと半ばダメ元だったけれど、奇跡的に彼も私のことを好きになってくれて交際がスタート。

彼と付き合って、目の前の景色ががらりと変わった。連れて行ってくれるお店も、会わせてくれる人も、彼がかけてくれる言葉も、すべてがキラキラと輝いていた。彼のそばにいることによって、自分のステータスが何ランクもアップしたような気がしたのだ。

しかし、付き合ってから約2年後、彼は「他に好きな子ができた」と言って人気アイドルグループに所属する若いタレントに“乗り換え”をした。

「恵里佳のワガママならなんでも聞くよ。食べたいもの、行きたいところ、欲しいもの、全部俺が叶えてあげる」

付き合っていた頃は、そんな歯の浮くような台詞を言っていたのに。

あのとき、「何もいらないから、ずっと一緒にいてほしい」と答えていたら、私は今でも彼のそばにいられたのだろうか。


感傷的な気分に浸っていると、手元のスマホが鳴った。画面には『翔太』と表示されている。

「もしもし?」

『あ、もしもし。ごめん、今日言い忘れてたことがあってさ。再来週の水曜、恵里佳の誕生日だよね?』

私が、「そうだけど、何?」と返すと、彼は少し口ごもりながら言った。 ......


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