改めて識るべき 老舗グランメゾンの真価 Vol.1

マキシム・ド・パリ

マキシム・ド・パリ

この店で食べたことの余韻を生むための丁寧な仕事

※この店舗は現在、閉店しております。この記事は閉店前の情報です。

Traditionnel

舌平目のブレゼアルベール風

調理師学校の教科書にも載るほどクラシカルで代表的なひと品。澄ましバターとパン粉で焼いた舌平目をベルモット酒ベースのソースでいただく。丸ごと一匹調理してテーブルで切り分けるスタイルはもはや貴重。¥5,460

日本初の本格フレンチとして数寄屋橋に誕生して47年。昨年、歴史あるグランメゾンの4代目総料理長に43歳の若さで就任したのが、伊藤正顕シェフだ。初代料理長・浅野和夫氏やフランス人シェフらのもと、『マキシム・ド・パリ』で修業を積んだ生え抜きだ。歴史を背負い、大所帯を束ね、苦労は並大抵ではない。

「長年愛されているグランメゾンだからといって、同じことだけを続けていいわけではないし、決して失ってはいけないこともある。そのバランスをとるのが僕の大事な仕事だと思っています。どんなに新しい料理を食べても最終的に"『マキシム・ド・パリ』で食べた" という余韻を残さなくちゃいけない。これはパッと見ただけで表せるものではなくて、もっと深いところに答えがあるんですよ」

例えば、素材を活かすことに力を注ぐ「引き算の料理」という考え方があるが、伊藤シェフもとい『マキシム・ド・パリ』の料理は「足し算の料理」なのだという。もちろん最高の食材を吟味した上で、下処理、加熱、ソース作り、サーヴまで、「やれることは全部やる」。結果、まるでデザートのように華やかで、驚きのある写真のフォアグラ料理も、食べてみれば印象は極めてクラシカルなのだ。

一方、『マキシム・ド・パリ』に新しい風を吹き込むのもシェフの仕事。多忙なシェフにプライベートを尋ねると、スケッチする、絵画を見る、音楽を聞く、ファッションも文房具も好きだし、バスケットボールをすることもある、と、止まらない。そういった趣味のすべてがいちばん好きな料理に着地する。

50周年を控えた『マキシム・ド・パリ』がどう変わり、どう変わらないのか。これからが楽しみで目が離せない。

Nouvelle

フランス産フォアグラのガトー仕立ていちじくのコンポート シェリー酒の香り

プチガトーのように繊細で驚きのある盛り付けだが、低温での火入れ、いちじくやシェリー酒との組み合わせはクラシック。コンポートの汁に漬けたドライフルーツ入りのパンを挟む。¥25,000コースの前菜から

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