「学区がいい地域に、引っ越したいけど…」有明タワマン在住女が、千代田区セレブ妻になれないワケ

結婚すれば、独身時代のように女同士のいざこざに巻き込まれることはない。

そう思っているとしたら、大間違いだ。

家庭を持つと、夫の母、つまり”ラスボス”のような存在の女との、深く長い付き合いが始まる。

順風満帆な人生を送るワーママ・真悠(33)は、この夏、その事実にようやく気がついた。

これは、彼女が経験した1話読み切りのストーリー。


星に願いを


― ふぅ、間に合った…。

今朝は、服に迷いすぎて遅刻寸前だ。

お洒落は我慢と言うけれど、薄手とはいえフォクシーの秋物ワンピースは、まだ早かったかもしれない。残暑の厳しい東京では、汗だくになる。

だけど、夏の装いにはもう飽き飽きだ。シーズンの初めには、あんなに軽やかで新鮮に映ったノースリーブやカゴバッグが、8月も終盤になると色褪せて見える。

14階にあるオフィスに向かうエレベーターに駆け込むと、先客が1人いた。どこかで見た記憶がある美女。

私はハンカチで汗を抑えながら、彼女をそっと盗み見る。

― あっ!この人って、七夕のときに短冊に願い事を書いていた…。



夏の初め。

勤めている会社が入っているビルの共用部分に、七夕の笹が設置された。

日に日に増える短冊を眺めるのが習慣になった。「ノルマ達成!」「疫病退散」「5兆円欲しい」…。

人の願望は色々だけど、見ていてときめくのはやはり恋愛系だ。あれはただ「彼氏ができますように♡」と書くより「祥平くんと付き合えますように」と具体的に明記する方が、効果大な気がする。

ある日のこと、私と同い年くらいの女性が短冊を笹に吊るすところに遭遇した。綺麗な人だったので、どんな願い事なのか興味が湧いて、通りすがりに見てみる。

― えっ?

「義母と縁が切れますように」

薄紫色の短冊には、丁寧にそう書かれていた。

この記事へのコメント

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No Name
なんだかお姑様、面白い〜憎めないわ。
2021/08/20 05:3099+返信14件
No Name
適度な距離感て大事だね
2021/08/20 05:1066
No Name
連載名が表示されないのは、どうして?
2021/08/20 05:1850返信3件
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