2013.05.21
森脇慶子の「旬カレンダー」 Vol.4大羽
夏の季語を味わい
日本の旬を舌で愉しむ
2013.05.21
森脇慶子の「旬カレンダー」 Vol.4夏の季語を味わい
日本の旬を舌で愉しむ
“夕河岸の鯵売る聲や雨上がり”と永井荷風が詠み、かの新井白石はその著書『東雅』で“鯵はアジなり”とまで礼讃した、日本を代表する大衆魚・鯵。年間を通して食べられてはいるが、夏の季語として使われているように、旬は5~7月。一説によれば味の良さからこの名があるとも言われている。
「鯵は青魚特有の風味を持ちつつもクセがなく、味わいは淡白。それでいて、豊かな旨みを兼ね揃えた優等生。特に6~7月は肉厚で脂ものり、最高ですよ」
人懐っこい笑顔でこう語るのは大羽耕一氏。銀座の知る人ぞ知る名店『大羽』のご主人である。海の無い長野に生まれ育ち、魚に憧れ料理人になった大羽氏だけに、魚への思い入れは人一倍。毎朝築地で仕入れる魚介類は、生半可な鮨屋も顔負けの質の高さだ。
鯵も然り。今回は食感を残して粗めに叩き、味噌や生姜、葱を和えてなめろうに。通常より控えめに入れた味噌のコクが鯵の風味を損なうこと無く味を引き締め、やや粘りを帯びた小気味良い歯応えは、鯵の新たな魅力を教えてくれるはず。つみれ共々、刺身でも十分食べられる鯵なればこその美味である。
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