土日に会えない男 Vol.3

「信じられない…」週末になると音信不通になる32歳男が、青山でコッソリしていた意外なこと

実は、海斗は15歳まで本気でJリーガーを目指していた。本気だったからこそ、高校に入ってすぐに気づく。

― 絶対、プロになれねえわ。

サッカーを諦めた海斗は、「将来は何をしようか」と悩んだ。いつだって本気を出すのが、海斗の信条だから、本気で悩んだ。

そして、サッカーと同じくらい好きなものが、テレビドラマだということに気がつく。

テレビドラマに「脚本」というものが存在していると知っていた海斗は、作文が得意だったことから、制作スタッフになるより脚本家のほうが向いていると自己分析し、脚本の勉強を始めたのだ。

その後、紆余曲折はあったものの、今、32歳にしてプロの脚本家として生活できている。

同時にサッカーのことも、まだ愛している。試合を見ることはもちろん、プレーするのも好きだ。

大学時代のサッカーサークル仲間と“週末フットサル”をすることは、執筆ばかりの海斗の生活において唯一の運動であり、趣味でもある。

で、美加と会う約束をしている今週土曜は、青山公園でフットサルをする予定だったことをすっかり忘れていて、海斗はダブルブッキングしてしまったのだ。

― これは、マズイ!

『ごめんなさい。約束してたけど、土日に会えなくなりました。』

美加にLINEすると、すぐに返事が来た。

『どうしてですか?』

海斗は、会えない理由が“フットサル”だという事実を美加に理解してもらえるのか不安で、既読をつけることさえできなかった。


―土曜日―


「海斗、お前…バカか!?なんで、こんな所にいるんだよ!?」

淳司の声があまりに大きかったので、フットサルコートにいる仲間たち全員がこちらを見た。

「どうした?」

「みんな聞いてくれ!海斗がバカすぎる!」

こっそり淳司とだけ話していたのに、他の仲間たちからの視線......


【土日に会えない男】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo