男と女の怪談~25歳以下閲覧禁止~ Vol.23

「聞かなかったことにしよう…」偶然知った親友の夫が抱える秘密。女の判断ミスが招いた悲劇とは


春・第三夜「参列する女」


「すみません、奧の座席なので、入ってもよろしいですか?」

18Cのシートに座ってシートベルトをしたところで、頭上から声をかけられた。

土曜日早朝の、羽田発金沢行きのフライトは思ったよりも混んでいる。

― あれ?この人も結婚式に出るのかな?

声をかけてきたのは、色が白く、鼻の高い女性だった。年齢は32~33歳だろうか、私より少し年上に見える。黒いフォーマルなワンピースにパールのネックレス。ジャケットを着ていて、髪を品よくセットしていた。

その姿を見てピンときた。私と同じように今日金沢で結婚式があり、参列するためにこんな早朝のフライトに乗っているに違いない。

「どうぞ、お通りください」

私は急いでシートベルトを外すと、立ち上がって通路に出た。

「もしかして金沢で結婚式ですか?私もこれから親友の結婚式に参列するんです」

並んで座席に座り、シートベルトを締めながら、女性にたずねた。非日常的な出来事にテンションが上がって、誰かと話したい気分だったのだ。

すると彼女は驚いたように目を丸くしてから、にこりと笑って私を見た。

「偶然。私も」

飛行機は、音もなく滑走路に押し出された。約1時間のフライトが始まった。

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