夫の寵愛 Vol.12

「そんなこと言うから、離婚したくなる…」夫がウンザリする、妻のNG発言とは

大抵どんな夫婦にも、互いに“秘密”があるものだ。

『愛しているからこそ、全てを知りたい』

そう考えた一人の男がいた。

愛しすぎることは、罪なのか……?

◆これまでのあらすじ
里紗の最愛の夫・毅は、もともと里紗のストーカーだった。そのことが発覚した後、一度は難局を乗り越えた2人。

しかし、毅から「離婚したい」と言われ、彼が離婚届をもらいに来たところに遭遇した里紗だったが…。

▶前回:「こんなところで何してるの?」3日間音信不通だった夫を、妻が偶然見かけた意外な場所


中目黒駅前のコーヒーショップ。

言いたいことが山ほどあるが、里紗は何から話していいのか分からないでいた。

テーブルで向かい合う毅も同じ気持ちなのだろうか。目黒区役所の前で、離婚届を手にした彼と出くわしてから、ほとんど言葉を発していない。

二杯のブレンドコーヒーから立ち上る湯気が、二人の間を揺らめいている。

「ごめんね」

先に、沈黙を破ったのは、毅だった。

「急に家を出て行ったこと…。それとLINEで送ったこと…」

昨夜、毅はLINEで、自分勝手な言い分を述べて『離婚したい』と一方的にメッセージを送ってきた

あれは嘘でも、一時の気の迷いでも、なかったようだ。現に、目黒区役所まで離婚届を取りに来ていたのだから。

「…いまさら、何?」

里紗は、やっとの思いで声を出す。

毅さんの過去のことは…たくさん話し合って、時間かけて考えて、二人で乗り越えたんじゃなかったの?」

「でも、そのあと里紗はずっと暗い顔をしていたじゃないか。俺は、それが…耐えられないんだよ…」

毅の声は小さかったが、それでも最初から最後まで、里紗の目をじっと見つめている。

大事なことを話すときは、毅はいつも相手の目を見て話すことを、里紗は思い出していた。

「…本気で言ってるの?」

里紗は、いつの間にか涙声になっている自分に気がついた。

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