23区のオンナたち Vol.2

「もしかして、監視されている…?」年収1,300万の夫を持つ“勝どきタワマン妻”の憂鬱とは

天空の城から見えた景色。


「ねぇ、徹平。引っ越さない?」

私がそう言うと徹平はあからさまに不機嫌になった。

「は?英理奈、おまえ何言ってんの?ここ、買ったばっかじゃん」
「そうなんだけど…」

寝る前というタイミングが悪かったのかもしれない。

「そんなこと、急に言われても無理に決まってるだろ。ローンだってあるし、葵の保育園のこともあるし。そもそも、どこに引っ越すんだよ」

徹平の気持ちはわかる。私自身、まさか引っ越したくなるなんて、購入したときには想像すらしていなかったから。

勝どきは、マルエツなどのスーパーや病院も近く生活しやすい。銀座まで自転車ですぐだし築地も近いので、適度に華やかで、便利な場所である。

ただお洒落なカフェや、 予約の取れない人気店などはない(むしろ驚くほど、そういった類のお店がない)。

けれども子どもがまだ2歳ということもあり、今の私には子育てのしやすさ、また生活のしやすさのほうが優先事項だった。

そういう意味では、住みやすい街だと思う。

でも別の角度から見ると、ものすごく住みにくい街でもあった。

「この街自体が狭くて、息苦しいの」

勝鬨橋を境に、“勝どき村”として隔離されている気がする。

「あと徹平が家にいると、この家がすごく狭く感じるの」
「え…」

さすがにこれは言いすぎたと後悔したが、徹平は何も言わないまま、呆れた顔をして私に背を向けて寝てしまった。


「葵、おうちに帰ってお絵描きしようか」

今日は一段と、花粉が強く舞っている気がする。目が痒くなってきたので、公園から引き上げて家に戻ろうとする道中で、知り合いのママ友に遭遇してしまった。

「あれ?英理奈さん。葵ちゃん、もう帰るの?」

私が苦手な、ママ友の花純だった。......


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