夫の寵愛 Vol.3

デート中、女がみてしまった衝撃のモノ。その後、彼と二度と会わなかったワケ

大抵どんな夫婦にも、互いに“秘密”があるものだ。

『愛しているからこそ、全てを知りたい』

そう考えた一人の男がいた。

愛しすぎることは、罪なのか……?

◆これまでのあらすじ
料理教室を営む里紗(33)。ある日、「ご主人のことで伝えたいことがある。もう一度、会ってください」という内容のDMが謎の男から届く。探っていくうちに、その謎の男の正体が、篠塚楓太という24歳のモデルだということが発覚するが…。

▶前回:「夫に、内緒で会う?」24歳イケメンからDMが届いた33歳美人妻。会いたいと懇願され…


里紗が池尻の自宅に戻った時、夫はダイニングのテーブルで、パソコンに向かって何やら夢中で作業をしていた。

「ただいま」と言ったのが、聞こえていないようだ。

―“あの件”について、相談したいんだけどなぁ。

全て話して、隠し事をしている罪悪感から早く解放されたかったが、毅の真剣な様子に声をかけることができないでいた。

「あっ、里紗!帰ってたんだ」

ぼーっと佇む里紗に、毅がようやく気づいて嬉しそうな顔を向けてくる。

「気づかなかったよ。ごめん」

そう言って、立ち上がってハグをしてくる。

「全然大丈夫!」

「どうしても今日のうちに、まとめておきたいことがあってね」

毅が、里紗の顔を覗きこみ怪訝そうに尋ねてきた。

「…何かあった?顔色が悪いみたいだけど」

彼の鋭い指摘に、ギクリとする。

里紗を気遣う毅の表情や声はいつものように優しく、話しやすい空気を作ってくれる。髪を撫でてくれる手も温かい。

「あのね、……相談したいことがあるの」

発されたのは、自分でも驚くほどか細く、頼りない声だった。その声を聞いて、初めて自分が不安だったことに気付く。

「あのね、またDMが来たの。『僕ともう一度、会ってください』っていう、あの変なDMが、また来た…」

その瞬間、毅の表情が一変し、ろうそくの灯りがフーっと消えていくように、鋭い目つきになった。

日頃はめったに見せない怖い表情だが、里紗には、見覚えがあった。

毅と付き合う前に、一度だけ。

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