惚れた女に恋人がいた…!?恋に破れ絶望に打ちひしがれる男が、一発逆転できた理由
「“本物の大人の男”になるには、何を捨て、何を選択すればよいのだろう」
20代は、無我夢中で駆け抜けた。
しかし、30代に突入し今までのやり方が通用しなくなり、もがいている1人の男がいた。
果たして彼は、“大人の男”になるために何を選択するのか?
オフィスの時計は、17時を指している。
「まだ連絡こないな…」
大手IT企業の営業として働く寺田良太(31)は、落ち着かない様子でパソコンのモニターを睨みながらクライアントからのメールを待っていた。
先日行ったビッグクライアントへのプレゼンは、会心の出来だったから、いい返事がもらえるはずだ。
しかし。
「嘘だろ…?」
ようやく届いたメールを確認した寺田は、言葉を無くす。
『今回は他社にお願いすることになりました。御社のご提案は…』
白々と光るモニターに浮かぶ無機質な文字は、まぎれもなく、自身の敗北を物語っていたのだ。
大きくため息をつくと、糸が切れたように机にもたれかかる。
20代の頃は苦戦する同期を傍目に、面白いくらい仕事の波に乗っていた。
それが最近、少しずつどこかでボタンを掛け違えたかのように、最後の最後でうまくいかないことが続いている。
そこにきて、とどめを刺すような今回の出来事。
―俺、この仕事向いてないのかもな…。
今まで考えないようにしていたネガティブな感情を飲み込もうとしたその時。
背中に「バン!」と大きな衝撃が走った。
「!?」
驚いて振り向くと、そこに立っていたのは、今もっとも会いたくない人物だった。