稲森いずみが語る「もし、女優になってなかったら…」。ベールに包まれた彼女の“素”に迫ってきた!


「3カ月も現場に行かないというのは、これまでで初めてのことでしたね。買い出し以外は、ずーっと家にこもっていました。

やったことといえば、ファスティングぐらい。お米とお味噌汁とお漬物があれば幸せなんだなぁって思っていました。そこまでのストレスはなかったんです。

私、寂しいとか孤独って、あんまり思わないんですよね。だって人は皆一様に、孤独や寂しさと向き合って生きているんですものね」

デビューしてすぐ、ブレイクした。日々の生活の不自由さには慣れている、ということなのだろうか。

「やっぱり、外に出るときに俯いている自分に気づくことはあります。だから、今のマスク生活は、ある意味ほっとする自分もいますね。

もし女優をやっていなかったら、きっとひとりでいろんなところに食べに行ったりもしていたんでしょうね(笑)。

もちろん、今だって友達が一緒の時に、オープンなお店に行くこともありますよ」


偽らざる本音だろう。

20代は忙しすぎて、演技以外にエネルギーを使う余力は残っていなかったという。

「余裕が出てきたのは、いくつくらいだったんだろう。本当に徐々にですね。いつからか、自分を許せるようになったんですね。若い頃は完璧にやろうとしすぎて、ずっと張り詰めていたんだと思います」

だが、〝生涯女優でいる〞と心に決めているわけでもない。

「デビュー当時は、そういう強い気持ちはなくて。ただ今は、〝天職〞っていう言葉を受け入れられるようになりました。

自分にそんなつもりはなくても、周りが見て天職と思ってくださるんだったら、そうなんだろうなって。二十数年、この仕事を続けさせてもらっているのは事実ですから」


デビュー前の普通の女の子でいられた時間が今も私を支えてる


いまだに撮影初日は20代の頃と変わらず、緊張から一睡もできないこともあるという。

少し角度を変え、稲森さんが〝変わらないために、大事にしていること〞は?そうぶつけてみると、それまでゆっくり考えながら答えていた彼女が、こう即答した。

「普通でいること」

それはこの世界に足を踏み入れた時から、思っていたことだという。

「女優としてより、まずひとりの人間として、ちゃんと成長していきたいっていう意味で、普通って大切かなと。演じていても、普通が一番難しいし、迷いますね」

ならば、稲森さんの〝普通〞の原点は、どこにあるのだろうか。


「私、あの時代にしては22歳とデビューが遅かったんです。だから、普通の女の子でいられた時間がそれなりにあって。今振り返ると、それはすごく良かったって思います」

第三者から見れば稲森さんは、スターであって〝普通じゃない〞。けれど、本人の中の〝普通〞がブレない限り、彼女はきっと変わらない。

これまで通り静かに時に身を委ね、しなやかに歳を重ねていくのだろう。

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■プロフィール
稲森いずみ 1972年生まれ、鹿児島県出身。1994年女優デビュー。ドラマ、舞台、映画と数多くの話題作に出演。2020年秋クール放送のドラマ『極主夫道』では、振り切った姐さん役が話題に。現在はNHK BS時代劇『明治開化 新十郎探偵帖』に出演中。

■衣装
コート 145,000円、ドレス 248,000円〈ともにN21/IZA TEL:0120-135-015〉、バッグ 230,000円〈JIMMY CHOO/JIMMY CHOO TEL:0120-013-700〉、イヤリング 2,420,000円〈HARRY WINSTON/ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション TEL:0120-346-376〉

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