5.2%の憂鬱〜妻からの挑戦状〜 Vol.10

プライドの高いエリート夫を打ちのめした、妻の日記。そこに記されていたのは…?

エリート夫の弊害


「どうして離婚しようと思ったんですか?」

そんな質問から始まる、伊織の日記。それを読み返してみると、これまで新太に抱えてきた不満が鮮明によみがえってきたのだ。



【12月30日】

「webデザインの技能検定、受かったんだ!」
少しでも仕事に役立てようと勉強した資格。嬉しくて新太に報告すると、こう言われた。
「へえ、合格率ってどんなもんなの?」

…まず、おめでとうじゃないんだ。少し落胆したけど、心の声をグッと堪えて明るく答えた。
「40%くらいかな?」
「結構受かるもんだな」

そこで会話は終わった。結局「おめでとう」とお祝いすることも「頑張ったな」の一言すらないまま。
超難関の公認会計士資格を持っている新太からすれば、webの資格なんて屁でもないのだろう。

だけど、自分なりに頑張った。それを褒めてくれたって良いじゃないか。
偏差値教育の賜物。偏差値や難易度でしか判断できないんだと分かって、失望した。

【3月15日】

「今期、かなり評価してもらえたみたい。お給料もちょっと上がりそう」
「いくら?」
…また、おめでとうの一言もなく聞いてきた。

「金額は大したことないけど、月2万円ちょっとかな」
自分は大きな会社で働いているわけじゃない。だから給与体系や評価制度もあやふやなところがあるし、それを理由に退職していく人もいる。

年功序列型で、自動的に上がっていくわけでもない会社。だから月2万も基本給が上がるなんて、滅多にないこと。それだけ評価してもらえたことが嬉しかったのに。

だけど新太は、またしても冷たく言い放った。
「そんなもんなんだ」

昇格とともに大幅に給与も上がる新太から見れば、大した金額ではないんだろう。
金額の大小や年収でしか判断できない人なんだと、また落ち込んだ。


彼の何気ない一言に傷つく。もう疲れた。

日記の最後には、こう記してあった。

偏差値や年収・合格率など、客観的な数字でしか判断しない。「頑張ったね」ということもできないし、人の気持ちに寄り添わない。

それは出会った頃に気づけなかった、“エリート育ちの夫”と結婚したこと......


【5.2%の憂鬱〜妻からの挑戦状〜】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo