
パリ薫るステーキに乾杯!
日本人には耳慣れないが、フランスにはレストランでもビストロでもない“ガンゲット”というジャンルの飲食店があるのだという。自由気ままに食事をし、歌って踊ってにぎやかな時間を過ごす“大衆酒場”のような位置づけで、ルノワールの名画〈ムーラン・ド・ラ・ギャレット〉にも、人々がガンゲットで思い思いにダンスや会話を楽しむ様子が描かれている。
焼き鳥とワインを楽しめる店として、浅草でつとに知られた『萬鳥』が、このガンゲットの魅力を伝えるべく、7月にリニューアルを果たした。店名を『ガンゲット・ラ・シェーブル』と改め、料理も一新。ダンスホールこそないが、メニューには、ビトック・ア・ラ・ルースやコック・オー・ヴァンといった、肉好きの心を躍らせるフランスの伝統料理が並ぶ。
なかでもオススメは、にんにく風味のホイップバターがたっぷりとのったパリ風ステーキ。飾り気はないが、昼夜や季節を問わずにガシガシ食べられるシンプルさが魅力だ。ガンゲットの定番であるピコン(リキュールの一種)を加えたビールとともに味わえば、体の中にさわやかなパリの風が吹き抜ける。