必要ですか? Vol.9

「これが、略奪女の末路です」二番手にしかなれない女の、屈折した日々とは

“思い出”はときに、“ガラクタ”に変わる。

ガラクタに満ちた部屋で、足を取られ、何度も何度もつまずいて、サヨナラを決意する。

捨てて、捨てて、まだ捨てて、ようやく手に入る幸せがある。


合言葉は、ひとつだけ。


「それ、あなたの明日に必要ですか?」



徳重雅矢は、お片づけのプロ。カリスマ整理収納アドバイザーだ。

“お片づけコンシェルジュ”を名乗る雅矢は、新人アシスタントの樋口美桜とともに、まるで魔法のように依頼人の部屋を片づけ、過去との決別を促し、新たな未来へ導いていく。

今回の依頼人は…倉持愛美(23)、監査法人OL。

雅矢と美桜の間に亀裂を走らせる彼女の、正体とは。

▶前回:結婚願望ナシの男に「家庭を持ってもいいかも」と思わせた、未亡人の重すぎる言葉


「この依頼人は…私には無理です。ごめんなさい」

美桜は、怒りと恐怖に震えながら、雅矢にそう告げた。

―どうして?どうして愛美ちゃんが…。

次の依頼人の名前を見たとき、美桜は血の気が引いた。

同姓同名の別人だと信じようと、何度もメールフォームからプロフィールを確認したが、年齢や住所は一致している。極め付けは携帯番号まで同じだということに気づき、確信せざるを得なかった。

忘れることのできない、「倉持愛美」という名前。

彼女は、美桜の監査法人時代の後輩であり…。

「この依頼人は、私の元婚約者を奪った人です」

声が震え、うまく息ができない。言葉にすると当時の記憶が蘇り、動悸がした。

雅矢は無言で美桜のことを見つめると、意外なことを言い放った。

「私情は持ち込まないでください。これは仕事であり、彼女は僕のクライアントですから。あなたの事情は関係ありません」

淡々とした雅矢の口調に、いつも以上の冷酷さを感じる。

―雅矢さんの言う通りだけど…。でも…。

美桜は、懇願するような気持ちで、思いを伝えた。

【必要ですか?】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo