2014.02.21
森脇慶子の「旬カレンダー」 Vol.11ピアットスズキ
春を告げ、体を目覚めさせるふきのとうのヴィヴィッドな風味
春とは名ばかりの浅春の頃、雪間にそっと顔を覗かせるふきのとうのけなげな姿は、遠からぬ春の訪れを思わせ、寒さの中にもホッとした温もりが伝わってくる。キク科の多年草で、ふきの蕾であるふきのとうは、春の訪れを告げる日本原産の山野草。だが、黄緑色の瑞々しい見た目とは裏腹に、苦味は鮮烈。冬の長い眠りから、今、まさに覚めんとする春の息吹のような味にはまた、新陳代謝を促進する働きもあるそうだ。
「ふきのとうの魅力はまさにこの苦味にあるといえますね」。力強く語るのは、鈴木弥平シェフ。独特の風味を立ち上らせ、淡い萌もえ葱ぎ色をして登場するご覧のリゾットは、そんなふきのとうのほろ苦さを存分に生かした『ピアットスズキ』の早春のスペシャリテだ。
低温のオリーブ油でゆっくりと、コンフィの如く炒め煮にしたふきのうとうのペーストは、十分乳化されることで苦味がややまろやかに仕上げられている。この苦味に拮抗すべく用いたのは、熟成感がありつつもストレートな塩味のアンチョビ。ひと口、口にした時の凄烈な苦さから、穏やかに拡がっていく仄ほのかな苦味の余韻が愛おしい。
2014.08.21
Vol.16
2014.07.19
Vol.15
2014.04.21
Vol.13
2014.03.20
Vol.12
2013.12.21
Vol.9
2013.10.21
Vol.8
2013.09.21
Vol.7
2013.08.21
Vol.6
2013.06.21
Vol.5
2013.05.21
Vol.4
2014.01.21
2024.10.04
2024.04.03
2020.06.21
2017.05.24
2022.11.28
2024.04.11
2020.05.23
2018.03.24
2021.07.21