14日間の恋人 Vol.7

「そこで、何してるの?」女が驚いた、5年も交際した男がやっていたコト

ひとり旅をするとき、こんな妄想をしたことはないだろうか。

―列車で、飛行機で、もし隣の席にイケメンor美女が座ったら…?

そして、妄想は稀に現実になる。

いくつになっても忘れないでほしい。運命の相手とは、思わぬところで出会ってしまうものなのだと。

傷心旅行に発った及川静香は、素性の知らない男と恋に落ちるが…。出会いから、別れまで、たった14日間の恋の物語。

◆これまでのあらすじ

静香は元カレに別れを告げられ、二人で行く予定だったハワイへ一人旅に来る

出会ってすぐに男女の仲になった勇作に運命を感じるが、彼は、元妻と血の繋がっていない二人の元娘に対し、深い愛情を残していた…。


Day7, 2019年6月14日


11時00分、アラモアナ市立公園。

巨大なショッピングモール・アラモアナセンターの目の前にある、ビーチと生い茂る緑を兼ね備えた公園まで、静香はホテルから20分かけて歩いてきた。

いつものリッツ・カールトンで待ち合わせをしなかったのは、考え事をしたかったからだ。

勇作のガイドも、ついに最終日。1週間前、ハワイに向かう機内で隣の席になって、偶然出会った彼とも今日でお別れだ。

―本当に、勇作と離れてしまってもいいの?

東京にいる自分だったら即決だ。

出会った初日にキスをして、2日目に男女の仲になるような彼とは一緒にいるべきではない。ましてや離婚した元家族に未練を残している男なのだ。

でも、ここはハワイ。

木漏れ日の下、遊歩道をゆっくり進みながらビーチと海に目を向けると、頭の中にいるもうひとりの自分が囁く。

―彼に、運命を感じているくせに。

静香だけではない。彼だって、「運命を感じている」と認めていた。

女性たちと親しげに電話する勇作に、気を揉んだこともあったが、それは娘たちだったと判明して、とても安堵した。

それは、勇作のことが好きだからだ。

―静香、自分の気持ちに素直になりなさい。だってここは、ハワイよ。

ハワイにすっかり感化されたもうひとりの静香が、再び囁いた。

すると頭の中では、また別の自分が割って入る。それは東京に拠点を置く静香だ。

―だけどね静香、あなたはあと1週間後には東京に帰るのよ?

勇作は、元家族のためにハワイ定住を考えていた。たとえ付き合うことになったとしても、すぐに太平洋を挟んだ遠距離恋愛が始まるということだ。

これが旅行の醍醐味だと、いつか勇作が言っていた。たしかにそうなのかもしれない。ハワイに来て、1週間ほど熱に浮かされていただけ。

東京に帰れば仕事が待っている。日常が戻ってくれば、勇作のことはすぐに忘れる。

まとまらない考えを、無理やりまとめあげた静香は、公園を歩くスピードをあげる。もうすぐ勇作が車で迎えに来てくれる時間だ。

…と、その時だった。

静香は青ざめた顔で立ち止まった。

「嘘でしょ…」

静香の目に飛び込んできたのは、ここにいるはずのない人物の姿だったのだ。

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