憧憬を呼ぶ美食ホテルダイニング Vol.8

古典的様式美が光る異空間で正統派広東料理を味わう

ザ・ペニンシュラ東京

エントランスからアーチを描く回廊に沿ってテーブルが配される。異国に迷いこんだかの雰囲気

古典的様式美が光る異空間で正統派広東料理を味わう

『ヘイフンテラス』にタン・ツィー・クゥン氏が帰ってきた。タン氏といえば、『ザ・ペニンシュラ香港』のレストラン『スプリングムーン』で総料理長を務め、'07年の『ザ・ペニンシュラ東京』開業時に『ヘイフンテラス』初代総料理長に就任した、その人である。'09、『ザ・ペニンシュラ上海』開業に合わせ上海に渡ったが、この秋、再び東京へ。彼の地での経験を経て創作意欲も新たにする一方、伝統に重きを置いた広東料理に一段と磨きがかかった。

鳩や鮑やスッポンや伊勢海老を使ったスペシャリテからベジタリアン料理、ランチで提供する点心とメニューも充実。進化した氏の皿を再び味わうなら今、である。香港のデザイナー集団が手掛けた瀟洒な設えにも、訪れるたびに心躍らされる。香港や中国各地から取り寄せたアンティークのステンドグラスやランタンの照明、鳥かごや飾り窓、敷石などを組み合わせ、蘇州古典庭園の庭園様式のイメージに。歴史や物語のあるひとつひとつのパーツが、高級感と温もりを醸し出している。

昼間は皇居外苑の緑を、夜は日比谷を間近に望む個室席や、厨房の一角で食事をしているかのような感覚を覚える大胆なシェフズテーブルなどサプライズ感のある空間は、ここぞの時に覚えておきたい。ホテルのダイニングを訪れたなら、美味を堪能するのはもちろん、“ハレ”の時間に背筋を伸ばし、旅に似た感覚も楽しみたい。ここ『ヘイフンテラス』は、そのどちらの望みも不足なく叶えてくれる。

左.特選和牛フィレ肉のサイコロステーキ ブラックペッパーハニーソース ガーリックチップ添え¥7,880

右.ツブ貝と葱きゅうりの和えもの 葱油風味¥3,880。山椒油、ナンプラーの香りと辛みもアクセント

左.四川風担担麺¥1,280。胡麻のコクはあるがくどさはなく、極細の麺もあいまって淡麗な味わい

右.アンティークの調度、器や箸置きに至るまで、店内にあるもの全てが目を楽しませてくれる

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