A1:2,000円徴収は、懐事情で仕方ないならば大目に見ます。
出会ってから何度かやりとりをして、食事へ行くことになった私たち。彼は気を使ってくれたのか、最初は2対2の4人で行くことになった。
お店も隠れ家風一軒家の『牛鍋アイロン』を選んでくれ、ここまでは完璧だった。
「じゃあ真帆ちゃんと愛梨ちゃんは、同じ職場なんですか?」
「そうなんです。龍太さんと雄大さんも?って、敬語やめませんか?」
「そうだね、じゃあ敬語はナシで!」
お互い他己紹介を終え、和やかな雰囲気で会は進んでいく。
「真帆ちゃんも可愛いけど、やっぱり可愛い子の友達はみんな可愛いんだね」
「そんなそんな。男性陣二人の方こそ」
「いやいや、雄大は、イケメンだからなぁ〜」
龍太の同僚だという雄大も、なかなかのイケメンだった。けれども、私は龍太の方が断然タイプだった。なので、素直に気持ちを伝えてみる。
「そう?龍太さんの方がカッコイイと思うけど。少なくとも、私は龍太さんの方がタイプだなぁ」
そう囁くと、龍太は子供のように頬を赤らめて喜んでいる。そんな彼を可愛いなぁと思ったし、同時に、彼にもっと近づきたい!という欲まで出てきた。
だから龍太の方へ体を向け、テーブルの下で膝が当たるか当たらないかくらいの距離まで近づいていた。
けれども楽しい時間はあっという間に過ぎ、終電の時間になってしまった。
「もうこんな時間だ・・・私たち帰らないと」
すると、男性陣は慌ててお会計を貰いに走る。そんな急ぐ必要ある?と思いながら、私たちはお会計が来るのを待っていた。
そしてその金額を見た途端、龍太が申し訳なさそうにこう言ってきた。
「遅くなっちゃってごめんね。一人、2,000円だけ貰ってもいいかな?」
一瞬、耳を疑った。けれども、次の一言で、私たちは気持ち良くお会計をしようと思ったのだ。
「本当にごめんね、払わせちゃって・・・大人数だと、最近は厳しくてさ。申し訳ない!」
今のご時世色々あるし、厳しいのはお互い様。
それに考えてみたら、向こうも一般的なサラリーマンだし、私たちだって働いているので、多少の負担をするのは当たり前なのかもしれない。
「全然いいよ。そんなこと、気にしないで!」
龍太が心底申し訳なさそうな顔をしていたので、むしろこちらが、多めに支払わせて申し訳ないな、という気持ちにすらなってきた。
だから最後に、龍太からこう耳打ちされた時、私は笑顔で頷いた。
「今度は、二人でご飯に行かない?」
こうして、次は二人きりでデートすることになった。まさかそのデートの最後に、私の気持ちが瞬間冷却されることになるとは、この時点では思ってもいなかった。
この記事へのコメント
2件目も行ったんだよね。自分はそんな恥ずかしいことする人、ソッコーでお断りして帰るけど。