天秤女~恋は同時進行で~ Vol.3

「昼は彼氏と、夜は別の男と…」。何食わぬ顔で男をハシゴする、26歳美女の本音

最高の相手と結婚したい。誰もがそう思うだろう。

ときめき、安定、相性の良さ…。だけど、あれもこれも欲張って相手を探していると、人生は瞬く間に過ぎていく。

東京に流れる時間は、待ってはくれないのだ。

与田彩菜も、運命の相手を見つけるため、婚活に励む女のうちのひとりだ。彼女には、こんな持論があった。

「婚活は、同時進行が基本でしょ?」

—良くないこととはわかっているけれど、選択肢は多ければ多いほうがいい。…こっそり誰にもバレないように。

そんな主張をする、強欲な女。彼女は、思い通りに幸せを掴めるのか…?

◆これまでのあらすじ

26歳の彩菜は、ひょんなことをきっかけに、3人の男と同時に付き合って天秤にかけ、最良の結婚相手を見極めることを決意した。

現在の彼氏・直人には経済力と安定感があるが、心がときめいたことがないし、趣味などの相性も良くない。直人を「安定くん」とコッソリ呼ぶ彩菜は、残り2枠「ときめきくん」と「相性くん」を探し始める。

そんな折、会社で上司に紹介された蓮に一目惚れして…


「先月、ロンドンにあるウチの子会社で、不適切会計が発覚してね」

与田彩菜をミーティングルームに呼び出した上司は語りだした。

「だから現地の監査法人にサインを貰えていない状態なんだ。そこで与田さんには、そこにいる服部さんと一緒にロンドンへ出張してもらいたい」

「え!?ロンドンに一緒に?」

彩菜は思わず声を漏らし、服部蓮をちらりと見た。蓮はさわやかな笑みで返してくる。

蓮は監査法人の会計士だった。

子会社の不適切会計の内容確認をするため現地ロンドンへ向かうが、形式的に親会社の経理部からも担当社員を派遣しなければならない。それに彩菜が選ばれたのだ。

―なにそれ…!最高…!

今度は声が漏れないように、心の中だけで呟いた。

「急で悪いが、出発は一週間後の来週月曜だ。グループ全体として不適切会計が問題ないものとして処理したいから、早急に事を進めたい」

「わかりました」

彩菜は仕事用の顔で、微笑を浮かべ頷いた。

その後、当日までの準備と現地入りしてからの職務の流れを、上司と蓮の双方から説明を受けた。

出張期間は4日間。最終日は丸一日オフだという。

ミーティングが終わると、蓮は再び握手を求めてきた。

「与田さん、あらためて、よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

差し出された蓮の手を握り返しながら、自分の手が汗ばんでないか不安になる。胸の高鳴りを気づかれたくなかった。

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