天秤女~恋は同時進行で~ Vol.2

「彼とは相性もイマイチだし、ときめかない…」26歳の美女が、同時に3人の男を求める理由

直人とは、それから平日に一度、週末に一度の週2ペースでデートを続けて、一カ月後には交際に発展した。

7,500万円で購入したという直人の自宅にも泊まった。一人暮らしとしては贅沢な、しかしファミリーで暮らすなら狭く感じるだろうマンションは、不動前駅から北に歩いて10分のところにある。

祐天寺駅から南に歩いて10分のところにある彩菜とは、生活圏がほぼ一緒だ。

「この辺はとても住みやすいからね」

付き合うとすぐに砕けた口調になった直人は、そう語った。

「そうね。私も、このあたりは住みやすいから好きだな」

彩菜は安心した。彼とは価値観が近いのかもしれない。

「でも結婚したら、鎌倉とか葉山とか、湘南のほうに引っ越したいな。窓の外に大きな海が見えるところがいい」

「ああ、そうだよね…。直人はサーフィンが好きだって言ってたもんね…」

取り繕うように答えたが、心の中では違うことを考えていた。

―ダメだ。前言撤回。価値観は合わない。

直人の収入ならそれらの場所の大きな家に住めるのかもしれないが、周辺の道路は渋滞が起こりやすく、特に土日はひどいと聞く。遊びに行くならいいが、結婚後に住むのは…と、彩菜としては複雑な気持ちだった。

そもそもアウトドアが趣味の直人は、交際開始後、週末は必ずアクティブに出かけていた。最初こそ彩菜は付き添っていたが、しだいに苦痛になった。

―たまには、ゆっくりまったりデートがいい…。

3カ月間付き合ってみてわかったことは、直人はたしかに経済力があり、安定しているということ。だが、趣味も価値観も合わない。

食の好みも合わない。健康を気にしすぎるがあまり、揚げ物を一切食べないというのには引いてしまう。

それに、初めて会った日から一度もときめきを感じたことがない。

彩菜は過去、一緒にいるだけでドキドキする男とたくさん付き合ってきたからこそ、物足りなく感じてしまうのだ。

別れるほどの悪い部分が直人にあるわけではない。だけど、決め手がない。

同時進行の天秤恋愛を始めようと思ったのは、それも理由の一つだ。他の男と比べて直人が良ければ、このまま付き合い続ければいいだけのこと。


「直人には『安定』がある。でも悪いけど、『ときめき』が一切ないし、『相性』もイマイチなんだよね…」

祐天寺のワンルームマンションで、ぬるめの湯船につかりながら、彩菜はひとり呟いた。

安定。ときめき。相性。まさに三大要素だ。

これまで付き合ってきた男性たちに、この三大要素をすべて兼ね備えた男はいなかった。

安定した男と付き合っても物足りなくなり、ときめいた男と付き合うと自分を繕ってうまく出し切れず、相性が良い男とは男女のパートナーというより友達のようになってしまう。

ー結局、幸せな結婚をするために一番大切な要素って何なんだろ。

もちろん3拍子揃った男がいれば、それが一番いいに決まっている。だが現実はそう甘くないことも、これまでの恋愛経験で十分に痛感していた。

ーどうせ完璧な男なんて存在しないんだから…。だからこそ3人いれば、ちょうどいい比較対象になる。つまり直人は、『安定くん』。残り2人は『ときめきくん』と『相性くん』ね…。

お風呂をあがったあと、そんな結論に達した彩菜は、『ときめきくん』と『相性くん』を探そうと決めたのだった。

この記事へのコメント

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No Name
なんで上から目線でしか物事を考えられないんだか。。
苦手だわ、こう言う女性。
2019/12/15 06:2799+返信6件
No Name
安定→お金 ときめき→ルックス 相性→SEX でOK?
2019/12/15 06:1481返信4件
No Name
2度目はないぞ。うざー!
結婚して子供生まれたらときめきも減るし安定と相性、少しのときめきでいいんじゃない
2019/12/15 06:4881
No Name
葵への気持ちが無駄に攻撃的過ぎる。
こんなこと思う相手と会わなきゃいいのに。他に友達探すか、自分一人で解決しなさいよ。
世界の狭ーい高校生みたい。
2019/12/15 08:2067返信1件
No Name
彩菜も葵もめんどくさい女だな
彩菜みたいに内心こんなにいちいち毒はいてばかりいる奴いるんだね。。
何がそう不満なのか 一生満たされないタイプ
2019/12/15 08:3433
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