2014.07.19
森脇慶子の「旬カレンダー」 Vol.15うぶか
夏の食卓が華やぐ車海老の鮮麗
2014.07.19
森脇慶子の「旬カレンダー」 Vol.15夏の食卓が華やぐ車海老の鮮麗
「旨み、甘み、食感とすべてにおいてバランスのとれているのが車海老。姿で言えば伊勢海老ですが、味なら車海老。海老の王様といっても過言ではないですね」
開口一番、熱くこう語るのは、荒木町の甲殻料理専門店『うぶか』のご主人加藤邦彦さん。確かに、プリッと弾力のある歯応えと品のよい甘み、そして茹でると朱に染まる縞模様も艶やかなその姿は、江戸っ子にも好まれたのだろう。天ぷらに鮨にと、江戸前の粋な味を代表する食材のひとつでもある。
江戸時代の書物『本朝食鑑』によれば、体を曲げた時に縞模様が車輪のように見えることからこの名があるとか。養殖技術の発達で一年中食べられる車海老だが、天然ものの旬は6〜10月。入荷があれば『うぶか』では知多半島か長崎産を使っているそうで、数あるレパートリーの中でも、最大限に甘みが引き出されるのがこの逸品。
殻付きのまま190℃の油で約10秒間サッと油通しした車海老は、高温で瞬間的に火を通すことで旨みが凝縮。食感はレアながら生とは一味違う豊かな甘みを、熟成させてまろやかさを増した赤酢の酢飯が寄り添いつつ引き立てる。
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