オトナな男 Vol.7

「やっぱり、私は2番目の女?」男の狡い思惑に、ハマってしまう女

女には少なからず人生に一度、“大人の男”に恋する瞬間がある。

特に20代前半、社会人になりたての頃。

ヒヨコが生まれて初めて見たものを親だと思うように、先輩や上司に恋焦がれ、社内恋愛にハマる女性は多い。

だが場合によっては、その先にはとんでもない闇が待っている場合も…なくはないのだ。

◆これまでのあらすじ

別れを告げた次の日、咲希の元へ悠から電話がかかってきて復縁を求められるが、圭太に「好きだ」と言われ悠とは完全に別れてしまった咲希。

しかし大好きな職場の先輩の梨江子とランチに行き、実は圭太と梨江子が付き合っているという事実を聞かされた

圭太と付き合うつもりでいた咲希は目の前が真っ暗になるが……。


―実はね、企画部の吉沢圭太くんと付き合ってるんだ。内緒だよ。

梨江子と圭太が実は付き合っていると聞いたランチから1週間が経過した。圭太に好きと言われ、もうすぐ付き合うことができると思っていた咲希は、やり場のない気持ちに困惑していた。

しかし夏休み前で仕事も一気に忙しくなったタイミングと重なったこともあり、圭太や梨江子のことを考えている余裕がなくなっていた。

そんなある金曜日の午前中、咲希の元へクライアントからクレームの電話がかかってきた。

月曜日から残業続きで終電帰りだった咲希は、疲労もピークに達していたのか、普段なら絶対にしないようなミスをしてしまっていたのだ。

電話口の相手の剣幕に押され、パニック状態に陥る。必死に謝罪の言葉を並べるが、聞く耳を持ってくれない。梨江子は休暇を取っていて会社には来ていなかった。

どうしようと困惑した表情のまま顔を上げるとデスク越しの圭太と目が合う。

圭太は優しく笑いながら、俺につないでと口パクで合図してくれた。それを見た咲希は慌てて電話を圭太に取り次ぎ、解放された安堵感からほっと胸をなで下ろしていた。

電話は予想よりも早く、そして穏やかな雰囲気で終わった。電話を切った圭太は咲希の元へやって来て、梨江子の椅子に腰を下ろした。

先ほどまでの笑顔はなく真剣な表情でニコリともしない圭太に、咲希も自然と姿勢を正す。

「高宮さん、ちょっといいかな」

どうしよう、怒られるのかなー。

少したじろぐ咲希に圭太は向かい合って目を細めた。

「電話終わったよ。相手の方も許してくれた」

「ご迷惑をおかけしてすみませんでした……。私のミスなのに……」

咲希はミスをしてしまったショックと、クライアントの怒声を思い出し暗い表情で答えた。

「やってしまったことは仕方ない。でもね、こういう時は、ただ謝るんじゃなくて相手が何をしてほしいのかなって想像して話してみるとうまくいくよ」

圭太は、真剣な表情で話す。男女関係以前に、咲希にとっては一人の先輩として尊敬できて頼れる存在だった。

「ちょっとだけ反省して、次から気を付けてね」

そう言って立ち上がると、圭太は自分の席へと戻って行った。

圭太の真剣な表情や甘くない声が咲希の心を締め付ける。

それでも久しぶりに話せたという喜びは少なからずあり、圭太のアドバイスを胸にいつもよりも何倍も集中して仕事に取り組んだ。

その日の午後、休憩室でコーヒーを飲んでると、圭太がやってきて隣に座った。

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